「僕はコメディアンの修業として、最初に踊りをやらされました。踊りもお笑いも、どちらも『間』が大事だからです。お笑いの間はすべて踊りで覚えました。ジャニーズ事務所の子も踊りを習っているでしょ。実際、中居くんも(香取)慎吾ちゃんも、センスと勘がよくて驚きました。だから僕は、いいコメディアンを育てているのはジャニーさんのところだよ、なんて話もしました」

――絶頂期の番組で自ら主役を張った萩本さんと、裏方でプロデュースに徹したジャニーさんとは、コインの表裏の関係のようです。萩本さんがジャニーさんから学んだテクニックはありますか。

「探ろうとしたんだけど、手の内は絶対明かさなかった。アイドルグループを3人組、5人組とその都度変えるのはなぜ、なんて聞いたな。でも具体的な話は出てきませんでした。ただ一つ、ああしろ、こうしろという態度をとらないことが、少年と接するうえで大事なことなんだとわかったような気がします」

■「たのきんのパロディーなんて最高」 イモ欽のヒットはジャニーさんのおかげ

――萩本さんはたのきんトリオ(田原俊彦さん、野村義男さん、近藤真彦さん)にあやかったアイドルも育てました。ジャニーさんが歌から笑いへ方向転換したのとは逆に、萩本さんは笑いから歌へと視線を転じましたね。

「本当にうそのない付き合いをしてくれたんだなと感謝しています」

「たのきんを意識して、バラエティーに出ていた3人をイモ欽トリオ(山口良一さん、西山浩司さん、長江健次さん)でデビューさせました。最初、レコード会社は『ジャニーズのパロディーは勘弁してくれ。名前を変えてくれ』と言ってきたの。そのとき初めて、ああ、ジャニーさんはそういう立場の人なんだな、と知りましたね。それでジャニーさんにその場で電話をかけたら『イモ欽ですか。たのきんのパロディーなんて最高。やってちょうだい』と言ってくれましたよ」

「最近、ジャニーズ事務所がテレビ局に圧力をかけたという報道がありましたが、ジャニーさん自身はそういう発言をする人じゃないんじゃないか、と僕は思う。彼は話が分かる粋な人なの。イモ欽トリオのレコードが大ヒットしたのはジャニーさんが応援してくれたからなんです。歌番組で10週連続ランクインするとか大ヒットしましたけど、1曲だけで、それもジャニーさんの影響が大きくて」

――視聴率30%の番組を何本も持った萩本さんは、「日本のみんなを幸せにする」という思いをジャニーさんと共有していたんじゃないでしょうか。

「ジャニーさんが『歌だけじゃない、笑いもしなければいけない』と一生懸命話しているのを聞けば聞くほど、こっちも考えてしまう。向こうは歌を、こちらは笑いを、いうなれば技術の物々交換をジャニーさんとしたのかな。お互いになにか得るものを得て、気楽に付き合ってくれた。僕とは本当にうそのない付き合いをしてくれたんだなと感謝しています」

(聞き手は松本和佳)

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