介護保険料年10万円超 大企業の社員、負担ずしり

会社員や公務員は給与明細を改めてじっくりと見てほしい。健康保険料や厚生年金保険料の陰に隠れてあまり目立たないが、じわりと上昇している社会保険料がある。40歳以上が負担する介護保険料だ。

高齢化で介護費用膨らむ

中でも大企業の社員は負担額が増しているはずだ。2019年度の1人当たり保険料が初めて年10万円を超えたとの集計が公表された。介護サービスの利用者が年々増加していることに加え、健康保険組合などが国に保険料を納める仕組みが変わったことが大きい。

公的介護保険の財源は国と地方で半分負担し、残り半分を65歳以上の第1号被保険者(23%)と、40~64歳の第2号被保険者(27%)の保険料で賄っている。高齢化の進展で介護費用が膨らみ、第1号、第2号とも保険料は増加している。

主に現役世代である第2号の介護保険料は、会社員が加入する健保組合や公務員の共済組合、自営業者らの国民健康保険などの医療保険を通じて納める。額は国が各医療保険に割り当てる。会社員は原則として会社と折半する。

健康保険組合連合会(健保連)がまとめた19年度の予算集計によれば、平均介護保険料率は1.573%、被保険者1人当たりの介護保険料は前年度比6075円増えて年10万912円だった。保険料は10年間で3万円以上増えた。組合によっては年15万円を超えたところもあり、最も高いところは18万円台だった。

介護費用の増加が根底にあるが、見逃せないのは「総報酬割」と呼ぶ仕組みの導入だ。国が健保組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)、共済組合といった「被用者保険」に割り当てる金額は、以前は被保険者の人数で決めていたが、17年度から被保険者の給与や賞与の合計である総報酬額に応じて決める方式を採り入れた。総報酬割は段階的に割合を増やし、4年かけて全面移行する。

国は補助金を削減

この変更で、給与水準が高い被保険者が集まる組合は負担が増え、低い被保険者が多ければ減るところが出てくる。被用者保険の中では、大手企業の会社員が加入する健保組合や公務員の共済組合は給与水準が高く、負担が増える組合が多い。健保連の集計では総報酬割への移行が始まった17年度以降、1人当たりの保険料が大きく増えた。

一方で中小企業の社員が入る協会けんぽの負担が抑えられることで、国は協会けんぽへ拠出している補助金1000億円以上をやめることができる。「総報酬割は被用者保険間の負担の付け替えが目的だ」とニッセイ基礎研究所の三原岳主任研究員は説明する。

介護サービスの費用が膨らんでいることに加え、総報酬割も20年度には全面移行する。会社員らの介護保険料は今後も増えそうだ。健保連では、22年度の1人当たりの保険料は年13万4823円になると推計している。

(土井誠司)

[日本経済新聞朝刊2019年8月24日付]