広がる「手数料なし」投信 資産残高10年で4倍強QUICK資産運用研究所 高瀬浩

さらに手数料なし投信には独立系投信会社が販売会社を介さずに直接販売しているファンドや、もともとDC専用だったのを一般開放したDC兼用ファンドなどもあり、こうした「その他一般」の残高は1.7 兆円程度に達している。

インデックス型が中心

では具体的にどんな投信が人気を集めているのだろうか。区分別に資産残高上位5本を選び、一覧表にした。DC専用では「三菱UFJ プライムバランス(安定成長型)(確定拠出年金)」をはじめインデックス型が5本すべてを占めた。設定されたのはいずれも02~03年で、01年に制度が始まったDCの初期から運用を続けている。過去3年の運用成績もまずまずだ。

インデックス型投信は手数料なし投信の運用資産全体の4分の3を占める。購入費用がかからず、運用期間中に継続して発生する信託報酬などの費用も比較的低いことが支持されているようだ。

手数料なし投信の残高を運用会社別に集計すると、運用資産規模が大きいのは三菱UFJ国際投信の約1.6兆円を筆頭に、三井住友トラスト・アセットマネジメントの約1.2兆円、野村アセットマネジメントとアセットマネジメントOneの1兆円あまりが続いている。

「実質ノーロード」も拡大

一方、目論見書で手数料なしをうたっていなくても、実際には無料で購入できる「実質ノーロード」の投信がネット証券を中心に広がっている。例えば楽天証券やSBI証券はそれぞれ2600本程度の取り扱い投信(DC専用を除く)のうち、ほぼ半数を手数料なしで購入できる。残りの投信についても、積み立て投資が可能な投信を対象に楽天証券はポイントで手数料分を還元しており、SBI証券は8月27日から原則手数料なしとするサービスを始めた。

ネット証券は販売にあたり対面での商品説明やアフターフォローを基本的にしないので、その分の費用がかからず、低コストで運用をしたいという投資家のニーズに合っているようだ。

ただし実質ノーロードの投信のなかには、毎月分配型や信託報酬の高い投信も少なくない。毎月分配型は分配金を元本の払い戻しで賄う例が珍しくなく、複利効果が薄まる点に注意が必要だ。信託報酬の高い投信は運用対象や運用に対する考え方に納得したうえで購入するのが肝心なのはいうまでもない。

「老後資金2000万円問題」は自助による資産形成の必要性を喚起した。手数料なしの投信が多くなり選択肢が増えたことは投資家にとってメリットだが、特に初心者はどれを選べばいいか迷う人がいるかもしれない。老後資金を準備するには「長期・分散・積み立て」が有力な手段とされる。元本割れのリスクがあるのを十分理解したうえで、投資対象となる投信がある程度絞り込まれたDCや、つみたてNISAを活用することから始めてはどうだろうか。税制優遇の恩恵も見逃せない。

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