マネーコラム

Money&Investment

今や労働者の4割近く 非正規社員、「正規」との違い 同一労働同一賃金で注目

2019/8/31

写真はイメージ=PIXTA

このところ「正規社員」「非正規社員」という言葉をよく耳にします。同一労働同一賃金の原則を定めた働き方改革関連法の影響があるようですが、そもそも正規と非正規の境目がよく分かりません。違いを教えてください。

◇ ◇ ◇

労働基準法によると、会社などに使用され、その対価として賃金をもらう人を労働者といいます。労働者は大きく正規社員と非正規社員に分かれます。法律上に厳密な区分があるわけではありません。

正規社員は一般に雇用期間の定めがなく、会社が決めた所定労働時間、例えば1日8時間をフルタイムで働き、転勤を伴うといった特徴を持ちます。厚生年金保険など各種社会保険に通常加入するのも特徴といえます。高度経済成長の時代、特に男性労働者のほとんどは正規社員でした。

■非正規社員、労働者全体の4割近く

平成時代に入ってバブル経済が崩壊し、雇用形態は大きく変わり始めました。年々増えていったのが非正規です。政府によると非正規社員の数は約2100万と、いまや労働者全体の4割近くを占めます。

政府は非正規社員を図の下のように分類しています。所定労働時間の一部、例えば1日4時間働く人を「パート・アルバイト」と呼びます。派遣会社に雇用され、そこから実際に働く職場に派遣される人は「派遣社員」です。

半年、1年などと一定の雇用期間があり、契約を更新しながら働く場合は一般に「契約社員」です。60歳の定年後、同じ会社に再雇用されて働く人の多くは契約社員です。

非正規社員の特徴をまとめると短時間労働、有期契約、転勤がない、というのが一般的です。近年、企業は人件費を抑制するため、雇用調整のしやすい非正規社員を増やしました。子育てや親を介護するために短時間勤務を望む人が増えていることも背景にあります。

非正規社員の増加は多くの問題を引き起こしています。

■賃金に「不合理な格差」

まず賃金格差です。2018年の賃金構造基本統計調査によると正規社員の平均賃金は月32万3900円、非正規社員は20万9400円です。正規社員には労働時間が長い、転勤を伴う、といった理由があるとはいえ、それだけでは説明できない「不合理な格差が目立つ」と弁護士の上柳敏郎さんは指摘します。

そこで政府は働き方改革関連法に基づき来年4月から正規、非正規の賃金の均等化、均衡化を図ります。これが同一労働同賃金の原則です。

労働者災害補償保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の加入問題もあります。非正規社員の中には加入要件を満たすのに「会社が加入を怠っているケースも依然目立つ」と社会保険労務士の井上大輔さんは話します。

例えば雇用保険は「週労働時間が20時間以上」といった基準を満たす社員を被保険者として加入させる必要があるのに加入させないケースです。非正規で働く場合は会社が法律通りにきちんと運用しているかを確認しましょう。

[日本経済新聞朝刊2019年8月24日付]

マネーコラム 新着記事

ALL CHANNEL