結果として、この仕様変更を受け入れることになったとしても、その影響を正しく伝える必要があります。例えば、この仕様変更に対応することによって、新製品の発売日を延期しなければならないリスクがあることや、間に合わせるためには人員の追加や深夜残業が発生し、大きなコストが発生しうること、このタイミングで仕様変更に対応することで他の機能に不具合を生じさせるリスクがあることが想定されます。これらのリスクを説明した上に、その対策を打つことまで行う必要があるのです。

本質的な問題解決手段を検討する際、自分の身近にあるものだけではなく、考えられ得る範囲全てを対象とする。また、自分の権限よりも大きな権限を持っている人だったら何ができるかを考え、上位者を動かすことで、よりシンプルで効果的な問題解決が可能となるかもしれない。

ワナ4「安易な手段」の脱出法

解決すべき問題の本質もわかっており、現状の認識も正しくできており、予実差異から根本原因解析(RCA=Root Cause Analysis)によって根本原因も見えている状態ですが、手段の選択の時点で誤り、ベストな選択ができていないようなケースです。

ベストな選択ができていないだけならばまだよいのですが、無駄なコストが生まれてしまったり、状況の変化に柔軟に対応できない選択ゆえに一からやり直すことになったりすることもあります。

重要なのは、様々な角度から、様々な人の目で手段を吟味することです。手段選択の際に必ず2つの原則を適用することがお勧めです。

● 自分ではなく、自分の上長や、より権力、決裁権を持つ人だったらどうするかを考えてみる。専門家の意見を参考にする

● 現在の状況だけではなく、ちょっと先の未来も見据える。また、機能要件だけでなく、非機能要件(信頼性、保守性、性能、セキュリティなど)も考える

大切なのは自分一人で手段を選択することではなく、正しい手段を選択すること。
自分よりもより権力、決裁権のある人だったらどのような判断をするかを考えてみる。
専門家の意見を参考にする。非機能要件や、将来に必要になるであろう、要件についても確認する。

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米澤創一
慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授。プロジェクトマネジメントコンサルタント、人材育成コンサルタント。京大卒。元アクセンチュア・マネージングディレクター。著書に「プロジェクトマネジメント的生活のススメ」など。

「本質思考を極める 実践トレーニング」記事一覧

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