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第1次石油危機時、米国務長官のキッシンジャーを相手に渡り合い中東からの原油調達に成功した田中角栄。ソ連の共産党書記長ブレジネフとの会談では北方領土の問題が存在することを強引に認めさせた。「剛腕」のイメージがつきまとうが、通商産業相(現経済産業相)、首相の秘書官として角栄を支え続けた最側近、小長啓一は「とても繊細なリーダーだった」と振り返る。『田中角栄のふろしき』(日本経済新聞出版社)に収められた証言に「リーダーの条件」を学ぶ最終回は「優しさ」について。 =敬称略

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新潟県柏崎市西山町の角栄の生家は今もそのまま残る。かつては観光バスが連なりたくさんの人が詰めかけたというが、今はすっかり訪れる人も減った。ちょうど真向かいにある諏訪神社だけが、昔と変わらず角栄の生家を見つめている。

その生家から歩いて10分。小高い山を登り切ったところに田中角栄記念会館が建っている。「見る価値なし」「行くだけ無駄」。インターネット上の評判は散々だが、実際に足を運んでみると、必ずしもそうではない。

角栄という人間をじっくり考えるなら、どうしても見ておかなければならない品々がたくさんあった。その一つが角栄の書だ。

館内は写真撮影が禁止になっているため、ここで紹介できないのが残念だが、極めて達筆である。しかも、意外なことに実に流麗で美しい。

つつましやかで温和

角栄というだけで、反射的に荒々しく、男らしい書を想像してしまいがちだが、おしなべて優しい。

館内に掲げられた加藤僖一新潟大学名誉教授の書評にはこうある。

「氏の書を見ると、コンピューターつきブルドーザーといわれたエネルギッシュでタフな性格とは、これまたかなり異なった印象をうける。つつましやかで、温和で、女性の書のようなやさしさがある。結体(けったい=文字の形)には少しの癖もなく、お手本的でさえあり、線は素直でのびのびとしている」

実際、角栄が通商産業相(現経済産業相)、首相だった際に秘書官を務めた小長によると「田中さんは繊細で気配りのすごい人だった」という。

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