乗船経験のある方にしかわからないことも多いクルーズ旅。実は、装いや持ち物など、他の旅とは勝手が違うこともあるようだ。そこで、装いを中心に、クルーズコーディネーターの喜多川リュウ氏に取材。船旅こその決まりごとを紐解き、初めての船旅でもスマートに過ごそう。
喜多川リュウ クルーズコーディネーター。通算1000日以上乗船。カナダ・バンクーバー現地旅行社駐在員、クルーズ添乗員を経て、現職に。著書に『極上のクルーズ手帖』(クルーズトラベラーカンパニー)などがある。
Q1. クルーズ船にドレスコードはありますか?
A. 夜のみ決められています。主なドレスコードは、フォーマル、インフォーマル、カジュアルの3つ。
「クルーズ船では、夜のみドレスコードが定められており、配布される船内新聞に記されたドレスコードに従う必要があります。基本的なドレスコードは、フォーマル・インフォーマル・カジュアルの3つ。ブラックタイ指定が少なくなっている昨今、フォーマルな装いを愉しめる数少ない場の一つであるクルーズ船ですが、クルーズ業界でも、カジュアル化は進んでおり、フォーマルを排する船も増えています。その中でもシルバー・ミューズや英国系のクルーズ船には、フォーマル文化が残っています」(喜多川さん)
[ 基本のドレスコード ]
■「Formal」と記載があった場合「ブラックタイ・タキシードスタイルを着用しましょう」
「フォーマル指定の場合、タキシードに比翼のシャツ、腰を隠すカマーバンドにオペラパンプスと正統なタキシードスタイルが求められます。実際、ブラックタイ指定の夜は、ドレスアップした乗客が船内に溢れ、装いを楽しんでいます」
主なシーン / キャプテンズパーティ、フェアウェルパーティ
■「Informal」と記載があった場合「タイドアップがマストです」
「インフォーマルとは、スーツスタイルのこと。ショーなどのエンタメを楽しむ夜の指定が多いため、華やかなVゾーンの装いがオススメです。しかし、米国系の船にはブレザー着用の方が多いなど、装いの幅は船により異なります」
主なシーン / ディナー・ナイトショー
■「Casual」と記載があった場合「リラックス感のあるジャケットスタイルがオススメです」
「インフォーマルから見ても、更に装いの幅が広いのがカジュアルです。基本、襟付きの服が指定される場合が多いですが、クルーネックのニットなどにジャケットを羽織るスタイルは、寛ぎの中にも品格が保たれるのでオススメです」
主なシーン / 通常のディナー
■船によって異なるドレスコードの呼び方例
上記のドレスコードについて、クルーズ会社によって呼び名が異なることも多く、戸惑うこともしばしば。ここでは主な呼び方を整理して、ドレスコードに上手く対応しよう。まず、フォーマルには、下表の2つがある。それらは、ブラックタイ指定と同様に、フォーマルな装いが求められる。一方、カジュアルは、非常に幅広く難しい。スマートカジュアルと記載される場合が多いが、「自分のクラブハウスに行く際の装い」という意味の“カントリー・クラブカジュアル”をはじめ様々。大切なのは、崩しすぎず品格を保つことだ。故に、襟付きのものや、ジャケットを用いて品よく装うべし。