トム・ブラウン 有名キャラの「合体」ネタでブレーク
2018年12月に放送された『M-1グランプリ2018』ファイナリストのトム・ブラウンをバラエティー番組で目にする機会が増えてきた。『M-1』では、みちおが『サザエさん』に出てくる中島くんを5人合体させて、最強の中島くんを作るというぶっ飛んだ設定のネタを披露。布川ひろきがみちおの坊主頭を「ダメ~!」と鷲づかみする姿や、合体するときのみちおの動きなどで会場を沸かせ、立川志らくが「衝撃を受けた」と97点をつけるなど高評価を得た。
バラエティーでは、今年に入ってから『ロンドンハーツ』や『アメトーーク!』(共にテレビ朝日系)、『しゃべくり007』『ダウンタウンDX』(共に日本テレビ系)などでそれぞれのキャラクターにスポットが当たり、5月には布川に第1子が誕生。公私ともに充実している。
結成は09年。北海道の高校で柔道部の先輩(布川)・後輩(みちお)として出会い、高校卒業後に札幌よしもとでピン芸人として活動していた布川がみちおを誘う形でコンビを組んだ。結成後はすぐに上京し、オーディションライブを中心に回って、1年半後に現在の所属事務所であるケイダッシュステージに入った。
ネタは、みちおが書いてきた設定をもとに2人で話し合いながら完成させる。「結成当初はコントをやっていて、布川が全部作っていたんです。漫才をやり始めたときはノーマルなツッコミのネタを作っていました。分岐点となったのは、先輩のハマカーンさんの紹介で『アッコにおまかせ!』(TBS系)に出させてもらったとき。アッコさんに『面白い、面白くないじゃなくて、分からん』と言われたんです。これはもうダメだと思って、設定から全部考え直すことにしました」(みちお)。
試行錯誤しているなかで思いついたのが『M-1』で旋風を巻き起こした「合体」ネタ。「単独ライブでやってみたらめちゃめちゃ反応がよかったんで、これはいいぞと手応えを感じました。そこからどのライブに出ても、ほぼ毎回合体のネタをやって少しずつ改良してきました」(布川)。
ロン毛の布川と坊主頭のみちおという、見た目のインパクトも抜群の2人。ビジュアル面では先輩のオードリーの若林正恭から助言があったという。「若林さんが『話半分に聞いてほしいんだけど、布川は内面が変わってるのに見た目がさわやかに見えるから、いきなりみちおの頭を叩いたらお客さんはビックリすると思う。1回ロン毛にしてみたら?』って。それで試しにライブでウィッグを付けてやってみたら、すごくウケたんです。そこから地毛を伸ばし始めました」(布川)。
新たな課題も見えてきた。「やっぱりトークができるようにならないといけない」(布川)、「ちゃんとしたコメントを求められているときにも、対応できるようになりたいです」(みちお)。漫才に関しては「合体のネタばっかりに縛られずに面白いと思うものをやっていきたい」(みちお)という。
アバンギャルドな漫才で浮上しながらも、人柄はフランクで接しやすい2人。さらに経験を積み、トーク力を向上させた時の活躍に期待したい。
(日経エンタテインメント!8月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/吉岡教雄(BURONICA))
[日経MJ2019年8月23日付]
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