取締役会が変わる 上場企業3社に1社が女性を起用

2019/8/27

大和証券グループ本社は今年女性社内取締役を1人増やした。新任の花岡幸子取締役は中核子会社の大和証券で投資情報部長などを歴任した。大和証券グループ本社は「企業会計に関する知識を備え豊富なマネジメント経験を持つ」と起用理由を説明する。

英国で発足した、女性役員比率の3割達成を目指して企業のトップが参加する「30%クラブ」が国内で5月から始動したところ。大和証券グループ本社でも多様性は「喫緊の課題」とし、日比野隆司会長らが参加する。

海外勢は女性の役員起用だけでなく多様性でも先を行く。三菱UFJ信託銀行の内ケ崎茂・HR戦略コンサルティング室長は「海外企業は年齢や世代を超えた協働体制を確立することに配慮し、多様な議論を取締役会にもたらす工夫をしている。伝統的に高齢男性で固めてきた日本企業にも見習う点が多い」と話す。

会社役員養成機構 代表理事「まず中間管理職から育成を」

女性取締役を増やすために何が必要か。会社役員育成機構のニコラス・ベネシュ代表理事に聞いた。

――日本では女性取締役は依然少ない。

ニコラス・ベネシュ 会社役員育成機構代表理事

「欧米諸国だけでなく、トルコ、インドなどに比べても圧倒的に少ない。日本の上場企業で、中間管理職に女性が少ないという現状をそのまま映し出している」

――日本で女性取締役を増やすための策は。

「幹部候補となる中間管理職の女性を育てることが何よりも大事だ。子育て支援、柔軟な働き方、男性の家事参加などの改革が欠かせない。自社で女性管理職の増加を阻む障害物は何か、古い慣習にこだわっていないか、考え直す必要がある」

「日本企業はそもそも取締役の候補の数自体、少なすぎる。女性に限らず、あまり角の立つことを言わないような人を選ぶ傾向があり、多様性が確保されているとは言えない。女性も含め、もっと幅広い基準で候補を見るべきだ」

「単に女性比率を上げるという数値目標のために『女性の取締役を1人置けばよい』と安易に考えては意味がない。ダイバーシティの良さとは、様々な背景を持つ人々の議論から革新的なアイデアが出て、利益という成果につながることだ。そのために人材という資源をどう生かすのか。重要な視点が欠けたまま、数にこだわり女性取締役を登用することを危惧している」

――日本で女性取締役が増えるために女性に必要なキャリア形成とは。

「若いうちに海外や本社以外のポストなどで働くこと。出産後にはなかなか難しくなる仕事を早めに経験することで幅が広がる。またある分野の専門家として必要不可欠な存在になるのも良いだろう」

(聞き手は関優子)

■外国人登用これから ~取材を終えて~
女性取締役は順調に増えつつあるが、多様性のもう一つの柱である外国人社外取締役の起用はそれほど進んでいない。外国人社外取締役は114人と1年前の102人から1割増えたものの全体に占める比率は1.9%と0.1ポイントアップにとどまった。
米半導体大手インテルは取締役の半数がダイバーシティ視点での人選。小売り大手ウォルマートでは50歳未満から70代までほぼ10歳刻みで適任者をみつけ取締役会に迎えている。人種、年齢、性別など様々な違いに配慮するのは、人種差別などの問題を経験してきた米国社会の事情も大きいのだろう。
日本はようやくジェンダーに風穴をあけつつある段階。欧米並みの「開かれた取締役会」を実現するにはまだ時間がかかりそうだ。
(木ノ内敏久)