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メインの平台のほぼ中央に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

メインの平台のほぼ中央に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店に戻る。先週は盆休みと重なったため、ふだんより来店客が少なく、本の動きも鈍かった。そんな中、書店員が注目するのは、自分を主体にした、変幻自在なキャリア形成を呼びかける人生100年時代のキャリア論だった。

キャリア論の専門家が執筆

その本は田中研之輔『プロティアン』(日経BP)。田中氏は法政大学キャリアデザイン学部の教授で、キャリア論が専門だ。プロティアンとは耳なじみのない言葉だが、1970年代に米国の学者が提唱した概念に基づく。ギリシャ神話に出てくる神プロテウスを語源とする言葉で、火にも水にも獣にもなったりするプロテウスにちなんで、環境の変化に応じて柔軟に変わることができる変幻自在なキャリアが「プロティアン・キャリア」だという。

本はプロティアン・キャリアという考え方を軸に、「生涯を通じて変身し続ける術」について考えていく。一つの会社で勤め続けて一生を終える時代ではないという認識のもと、70歳まで第一線で働き続けることができるよう、自身のキャリアを磨き上げていこうというのが本書のスタンスだ。

キャリアを組織任せにするな

第1章には、15項目の質問で自身のキャリアの状態を把握できるキャリア診断がついていて、プロティアン・キャリアと自分の現状との距離感がつかめるようになっている。2章から5章はキャリアの磨き方に関する具体的な方法論が展開されており、最初の診断でわかった自分の状態から、どの部分をどう磨き上げればいいのか、その実践方法をあれこれと順を追って説明してくれる。第5章ではそうしたキャリア形成をどう「稼ぎ方」につなげればよいかまで考察されている。

自己分析から始めて、キャリアの棚卸しを実施し、小さなできることから手をつけてキャリア資本を積み上げ、自分の手にキャリア選択する主導権を取り戻すという考え方は、組織の中でそれなりに仕事はこなしているけれど、何か手応えがない、仕事に没頭できないと感じている人にはちょうどいい指針になるだろう。

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