投信の「お相手選び」 手数料の矛盾を知ろう積立王子のヤング投資入門(26)

ここで重要なのは、顧客が投信を買い求めるたびに販売手数料が顧客の懐から出て販売金融機関の手数料収入として利益移転する構図であり、これは顧客と販売者間に明らかな利益相反が発生するということです。つまり販売金融機関が販売手数料を稼ごうとするほど、顧客の利益がそれだけ損なわれるという因果関係です。つい最近まで、既存の金融機関ではそこに対する問題意識が欠落しており、販売手数料の目標が設定され、成果が営業員の人事考課や手当にも大きく反映されていました。

そうした構造が常態化したことで、投信は販売することのみが事業目的となり、顧客の利益がすっかりないがしろにされるに至って、金融庁がすべての販売金融機関に「顧客本位の業務運営」への回帰を強く求め始めたのです。

利益相反の矛盾を認識しよう

顧客本位とはお客様の最善の利益の追求です。投信の販売者は顧客の投資目的にのっとった運用利益の享受を事業目的の最優先に据えなければならない、という至極当然の理念への転換を投信を販売する金融機関に強烈に促しているのです。各銀行や証券会社は販売手数料を得るため「顧客に買ってもらうまでが営業」からのビジネスモデルの大転換に大いに頭を悩ませています。

とはいえ、販売手数料は今なお厳然と大多数の金融機関で徴収されています。ヤング投資家の皆さんは販売手数料に内在する利益相反の矛盾を認識して、投信購入時には販売手数料のかからないノーロードの投信を選択すべきだと考えます。ネット証券は商品の多くがノーロードですし、既存金融機関でもネット経由ならノーロードとなるケースが増えています。また投信会社が直接販売する直販投信ならノーロードが前提なので、まずは投信選びの大前提をノーロードに置いてお相手選びを始めることをお勧めします。

中野晴啓
セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。
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