投信の「お相手選び」 手数料の矛盾を知ろう積立王子のヤング投資入門(26)

私もメンバーとして参加していた金融審議会「市場ワーキング・グループ」が作成した報告書が話題を集め、結果的に多くの生活者に高齢社会の進展に伴う資産形成の必要性が周知されることになりました。特に現役世代の関心が高く、「イデコ」(個人型確定拠出年金、iDeCo)や「つみたてNISA」(積み立て型の少額投資非課税制度)を通じ、投資信託を活用した長期資産形成へ一歩を踏み出さんとこのコラムを読んで下さるヤング読者の皆さんも意欲に燃えていることでしょう。

投信の「販売手数料」とは?

さて、投信で投資を始めようと思った時、おそらく大半の人が銀行や証券会社での購入を思い浮かべるでしょう。実際、日本にある6000本超の投信の99%がこれら販売金融機関経由で扱われています。我が国においては今でも、銀行や証券会社の窓口での対面型による投信販売が主流ですが、こうした金融機関での対面営業では、ほとんどのケースで購入時手数料が徴収されています。

購入時手数料は俗に販売手数料と呼ばれる通り、投信を買い求めた際に、購入金額に対して2~3%程度の手数料を顧客が販売金融機関に支払うシステムのことです。銀行や証券会社としては、顧客に対して商品説明や手続き事務に人件費などのコストがかかるため、そのサービス対価として一定比率の手数料を顧客に負担してもらう、とのスタンスです。

10万円で3000円、1千万円なら30万円

一定の合理性があるようにも思えますが、ならば販売手数料が3%の場合、10万円購入した人は3000円の負担なのに、1千万円購入した大口のお客さんは30万円もの支払いが発生するという負担額の違いは、どう理解すればいいのでしょう?

商品説明の濃淡や事務コストにそれほどの差があるとは考えにくく、購入金額に対する定率での販売手数料徴収は合理的根拠に乏しいと言わざるを得ません。ところが、金融機関における投信の窓口販売ではこうした慣習が長きにわたり定着し、銀行でも証券会社でもすっかり投資信託の取り扱いは販売手数料の獲得が目標となっています。

販売サイドの立場で考えてみれば、10万円購入するお客さんよりも1千万円買ってくれるお客さんの方が、同じ手間で多くの販売手数料を得られるわけですから、おのずとそうした大口顧客に傾注した結果、高齢者主体の営業が当たり前になってしまいました。

気付けば「回転売買」

そして気が付けば、投信販売が営業収益の主力となって手数料収入が目標化され、とうとうお客さんに保有する投信の売却を促して、その資金で新たな投信を再び買ってもらうといった回転売買と呼ばれる営業手法まで横行するようになってしまったのです。

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ビジネスパーソンの住まいと暮らし