レジ締め30分が5分に ロイヤルホストのIT活用術黒須康宏ロイヤルホールディングス社長(下)

1958年生まれ。82年名城大学卒業。大学時代にロイヤルホストのアルバイトを経験、同年ロイヤル(現ロイヤルHD)入社。2011年ロイヤルホスト副社長、同年ロイヤルHD取締役。16年3月より社長兼最高執行責任者(COO)、19年3月より社長兼最高経営責任者(CEO)

白河 閉店後のレジ締めが5分。サービス残業化しやすい業務ですよね。日本橋に実験店舗を持っていらっしゃいますよね。そちらではたしかキャッシュレス決済もトライされていましたが。

黒須 はい。あの店は研究開発(R&D)店舗として、新しい実験を検証する場になっています。キャッシュレス決済が話題になったのですが、やりたかったのは決済も含めて、人が価値を生む接客と料理などを除いた間接業務を極端に減らしたら何が起きるか?という実験です。

間接業務は、ロイヤルグループの他店舗の場合で労働時間の約19%を占めているのですが、R&D店舗でセントラルキッチンサプライによる火と油を使わない調理の研究、キャッシュレス決済、ロボット清掃などを試した結果、5.6%にまで短縮することができたんです。その結果、何が起きたか。ホールも厨房も暇になって、やることがなくなっちゃったんですよ。

すると何をするかというと、お客様のテーブルに行って「お味はどうでしたか」「今日はどちらからいらっしゃったんですか」とコミュニケーションにかけられる時間が増えたんですね。この結果をもって、「では実際の店舗に何をどこまで導入するか」という議論をしました。そしてレジ締め業務の短縮やロボット掃除機の導入を全店で始めることにしたという経緯です。

白河 イノベーションの投資判断をする前の、検証をしっかりなさっているということですね。逆に、「これはやらない」と決めたことはありますか。

黒須 今のところ、商売を考えると「100%キャッシュレス」は尚早だろうという判断はありました。

白河 パート・アルバイトの方々のシフト編成や売上予測などにIT導入はなさっていますか。いま来店予測を使って、かなり正確にフードロスを削減することができるようになったそうですね。

黒須 今後のことにはなりますが、売上予測については重要視しています。ただし、予測の精度が高くなければ、ロスにつながったりお客様に迷惑をかけたりすることになりますので、確実で慎重な導入が必須になります。現在は実験的に20店舗ほどで試しているところです。

白河 外国人採用については積極的に考えていますか。

黒須 グループ内の「てんや」では16%くらいの外国人に活躍いただいています。文化や習慣を乗り越えてホスピタリティーを追求できるかが課題ですが、地道にトレーニングの機会を設けています。

満足度調査をパート・アルバイトにも拡大

白河 世間では、アルバイト店員が非常識な行動を動画に撮って公開する「バイトテロ」の問題もたびたび起きていますが、そのあたりの対策は何かなさっているのでしょうか。

黒須 よく聞かれるのですが、「処罰をちらつかせて縛る」というのは少し違うかなと思っています。やはり楽しくやりがいをもって働ける場を提供すれば、おそらくそういう事態にはならないはずです。だからこそ、従業員満足度を高める努力は怠れません。

白河 従業員の皆さんが苦情を会社に伝えられる窓口は用意されているのでしょうか。

黒須 社員に関しては、8年ほど前から、従業員満足度調査を年1回ペースでやっていて、コメントを書いていただくようにしています。また、試みとして、パート・アルバイトさんに関しても今年から同様の調査を始めています。

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