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青森県にある縄文時代の「三内丸山遺跡」からインスピレーションを受けた

青森県にある縄文時代の「三内丸山遺跡」からインスピレーションを受けた

超高度デジタル社会の到来に、多くのビジネスパーソンが戸惑っている。変化の激しい時代を勝ち抜くために発想の転換を促してくれるのが、本書『最強の縄文型ビジネス』だ。縄文時代の生活様式と文化構造を読み解く作業を通じて、イノベーションのヒントを探る。自由でおおらかな「狩猟と採集」時代にタイムスリップして、新しいビジネスモデルのタネを探してみよう。

◇  ◇  ◇

筆者の谷中修吾さんは静岡県湖西市の出身です。東京大学大学院工学系研究科を卒業した後、外資・戦略コンサルティングファームBooz Allen Hamiltonで政府機関・民間企業の戦略立案や実行支援を担当しました。マーケティング技法を駆使した事業開発が専門で、地方創生のイノベーションのプラットフォーム「INSPIRE」を立ち上げています。現在はビジネスプロデューサーやクリエーティブディレクターとして活躍する一方、大前研一氏が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)の経営学部で教べんをとっています。

縄文時代の三内丸山遺跡からインスピレーション

著者が「縄文型ビジネス」の着想を得たのは今から15年前だそうです。仕事で初めて青森県を訪ねた際、空き時間に足を運んだ縄文時代の「三内丸山遺跡」で強烈なインスピレーションを受けました。一面に果てしなく広がる空や大地の風を全身で感じて、自分自身が雄大な自然と共に生きていたというようなデジャブ(既視感)を味わったと言います。それ以後、縄文時代についていろいろと調べるうちに「現代こそ縄文の叡智(えいち)に学ぶ意義を見いだした」と確信しました。

稲作が日本に普及した弥生時代に先立つのが縄文時代です。1万年以上続いたとされています。人々は土器を作り、主に竪穴式住居に住んで、弓矢を使って狩猟・漁労・採集の生活を営んでいました。著者は現代のビジネスを考えるうえで、縄文時代の5つの特徴に着目しています。(1)ムラを作って定住生活を始めた(2)自然が広がるハラ(原)と共存共栄した(3)多種多様な食物を組み合わせて生活した(4)自然の声を聞いてコトバを発達させた(5)縄文土器に世界観を表現した――がそれです。

マーケティングやイノベーションの観点からは(3)の食料調達が重要になります。著者は縄文時代の営みを、現代の企業経営に置き換えてみました。もし株式会社「縄文」があったとしたら、どんな会社なのか……。著者は次のように想像します。

縄文時代の食料調達は、狩猟・採集を基本として、多種多様な食物を組み合わせたことを確認しました。つまり、様々な市場から利益を生み出すビジネスモデルを持っていたわけです。ある食料の採集ができなくとも、別の食料の採集で代替できるというように、ビジネスを安定させるポートフォリオを組んでいたことになります。
 ムラの周辺には自然のハラが広がり、縄文人は自然と共感・共鳴し、その声を聞いて行動していました。まさに現地現場に身を置いているからこそ、直感的に潜在ニーズを見抜き、即座に市場機会をつかむ行動を起こすことができるのです。
 (第1章 縄文時代の影響をビジネスに生かす 38ページ)

一方、弥生時代はどうだったでしょう。株式会社「弥生」の経営は稲づくりを通じたコメの生産が基本です。ムラの資源を稲作に集中投下することで効率的にコメを確保しました。利益を蓄積してさらなる投資を志向します。事業計画に基づいて稲作を管理してPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回しながら確実な収量を目指していきました。

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