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トリュフを食べるは本当の夢に? 夏雨異変で迫る危機

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ナショナルジオグラフィック日本版

豊かな香りで愛されるトリュフの森に、異変が起こっている。英ケンブリッジ大学の研究者、ウルフ・ビュンテン氏は、トリュフが年々見つけにくくなっているという話をスペインのトリュフ生産者たちから聞いた。詳細をはっきりさせるのに数年かかったが、ビュンテン氏ら研究チームは、このほど両者の関係を突き止めた。トリュフの生産は、夏の雨量に対して非常に敏感だったのだ。研究結果は2019年7月、学術誌「Environmental Research Letters」に掲載された。

トリュフは木の根の奥深くで見つかるキノコの仲間。スペインのトリュフ生産者たちによれば、産地の木が弱っている、あるいは地域的に何らかの変化が起こっているのではないかという。ビュンテン氏はイタリアやフランスのトリュフ産地でも聞き取り調査をしたが、状況はどこも似通っていた。気候学者のビュンテン氏は、こうも広い地域にわたって同じ話を聞き続ける中で、ある考えに至った。これらはすべて、背景に気候パターンがあるのかもしれない。そして、気候変動が問題を悪化させているのかもしれない。

そして地中海西部では、夏の降雨パターンが過去40年で変化している。夏は渇水がひどく、気温は上昇している。その結果、トリュフが生きるのに必要な、繊細な自然の仕組みに大きなストレスがかかるようになった。

「これほど広範囲にわたって同時に起こっているパターンを見れば、普通は気候が要因です」とビュンテン氏。

トリュフはオークが大好き

トリュフは大きな富を生む。今後10年以内に、世界市場は60億ドル(6350億円)を超えるまでに成長すると見込まれている。

理由の一つは、恐ろしく繊細なキノコであること。極めて貴重な白トリュフなど、いくつかの種類は、まったく栽培できない。ヨーロッパ各地に数カ所残っている、自然のままの古いオークの森でしか見つからない。現在、一般に1ポンド(約450グラム)当たり1000ドルを優に超える値段で売られている(もっと高値になることもある)。

それ以外の、比較的数の多い黒トリュフなどは、不完全ではあるが栽培できる。

トリュフは地下で育つ。オークの木の根が作る、地下深くの微細なネットワークの中で、特殊な共生関係を築いている。宿主である木の根から糖分と水を少量もらい、お返しに土壌の栄養分を木に与える。少なくとも、理論上そう考えられている。科学者が地中の相互作用を調べる方法がないため、両者のパートナー関係の詳細は、今もちょっとしたブラックボックスだ。研究のためにトリュフを掘り出すや否や、生息地は壊されてしまうため、継続的な分析はできない。

1800年代以降、スペイン、イタリア、南フランスの生産者たちはトリュフが育ちやすい木を栽培し、トリュフの成長を促すと考えられるやり方で森を手入れしてきた。しかし、ヨーロッパ全域で農地の開発が進むと、昔からのオークの森があちこちで破壊され、それに伴ってトリュフも失われた。

1950年代になって、生産者、科学者、地域社会が対応し始めた。貴重なキノコの栽培方法を探り、オークの「プランテーション」の開発に至った。現在、400平方キロ余りのトリュフ・プランテーションが、スペイン、フランス、イタリアに点在し、合法のトリュフ市場全体の約80%を供給している。

暑く、乾燥する夏のあいだに木々を弱らせないよう、多くの生産者が灌漑システムを設けている。トリュフが採れる森の生物多様性を高めたり、さまざまな技術で菌の接種を試したりといったことも行われている。しかし、あらゆる設備や方策をもってしても、年間収穫量は安定しない。科学者や一部のトリュフ生産者が考えている潜在的ストレスの1つが、変化する気候だ。

「もちろん、生産者たちは気候の影響に気付いています」。フランス国立科学研究センターの文化人類学者で、ヨーロッパ各地のトリュフ生産地で地域社会と協力してきたイルディズ・オーミルディー=トマス氏は話す。「トリュフが育つ環境と天候の複雑な相互作用を、間近で観察しているのが生産者たちです」

気候変動がトリュフにも影響

トリュフをめぐる仕組みを注意深く見てきた彼らにとって、理想的な条件があった。春に適度な雨があり、夏は暑く、少々雨が降り、そして冬が穏やかなことだ。過去には好条件の年があり、トリュフが豊富に採れた。

だが、それ以外の年は思わしくなかった。特に悪かったのが、夏が長く、暑く、雨が少ない年だった。ビュンテン氏ら研究者たちが、自由に使える過去49年分のデータを詳しく調べ始めると、1970年から2000年代初めにかけて、南欧の一部で猛暑の夏がどんどん増えていることがわかってきた。そして、トリュフの収量が目立って少なかった年と一致していた。

このパターンを作り出しているのが、実は気温ではないこともわかった。毎年冬の収穫前に降る、夏の間の雨量だった。温度が上がれば、木々にかかる渇水のストレスはどこでも強まるため、高温が状況を悪化させていると考えられた。しかし、1990年代以降で最も強く関係しているとみられるのは、雨だった。

意外なことに、木々に灌漑が行われているプランテーションですら、このパターンが成り立っていた。生産者たちが高い費用をかけて、オークに注いでいた貴重な水は無駄になっていたことを示唆している。

気候学者たちは、地球温暖化が進むにつれ、渇水はさらにひどくなるだろうと予測している。「ヨーロッパでは、黒トリュフが生きられる限界を超えてしまうでしょう」と話すのは、英スターリング大学で菌類を専門に研究するポール・トマス氏だ。

「2071年までに、いま黒トリュフが採れる気候帯の多くは、気候変動によって生育に適さなくなると考えられます」とトマス氏、「また、灌漑ができるとも限りません。水は今より少なくなるからです」

「トリュフにとっては、かなり厳しい未来が待っています」と、トマス氏は語っている。

(文 Alejandra Borunda、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年8月11日付]

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