火災保険で自然災害をカバー 水災補償の有無を確認災害に備える損害保険(上)

幸子 10月に大手4社が平均で5~9%引き上げる見通しよ。保険料の引き上げは4年ぶり。保険料負担を抑えるには、保険期間を5年とか10年に長めにとって保険料を一括払いすると割引率が大きくなるわ。ただ、損害保険料率算出機構の17年度の調べでは保険期間は1~2年というケースが半分を占めてるの。

 保険期間を長くするとどのくらい割安になるの?

幸子 現在の保険料で算出した例だけど、ある損保では、東京都の木造新築住宅(非耐火構造)で保険金額2000万円の場合、保険期間1年では保険料は約3万5000円、保険期間10年で一括払いにすると保険料は約30万円なので、約15%割安になるわ。ほかにも、水災補償の保険金額を縮小すれば保険料が割安になるわね。

良男 でも、最近は毎年のように大規模な自然災害があるよね。水災補償は必要なんじゃないかな。

幸子 基本的にはその通りよ。でも、マンションの上層階とか高台の戸建て住宅で、近くに河川や山がなければ床上浸水や土砂崩れの危険性は少ないわ。そういう人は水災補償を縮小してもいいかもしれない。さっき言ったようにハザードマップなどで自分の家の立地を調べておくといいのよ。避難所なども示されているしね。万が一のときの家族の集合場所や連絡手段も決めておきたいわ。

 損保が出している災害用アプリも便利だと聞いたわ。契約者向けのサービスが多いけど、スマートフォンで自治体が指定する避難所などを地図で確認できるようよ。保険証券をカメラで撮影して取り込める機能がついたアプリもあるみたい。いざというとき、家から保険証券を持ち出せなくてもスマホに保存してあれば便利よね。

■自己負担増額で保険料安く
ファイナンシャルプランナー 平野敦之さん
床上浸水などの水災時の補償がない古い火災保険に加入しているのは、高齢世帯が多いと思われます。実際に被災すると十分な補償を得られず、生活再建が難しくなります。とはいえ、新しい保険に入り直せば現在より保険料負担が重くなる場合が多いでしょう。新しい保険に入り直すかは補償内容や保険料差を試算して十分に検討してください。
自然災害の増加などで保険料は上昇傾向です。負担を抑えるには、被災時の免責額(自己負担額)を多めに設定する、長期契約にするなどの方法があります。自己負担額を10万円にすると、50万円の被害を受けた場合に受け取れる保険金は40万円ですが、自己負担がない場合に比べて保険料は下がります。軽減した保険料を貯蓄に回しておけば、その分備えが増えたとも考えられます。
(聞き手は川鍋直彦)

[日本経済新聞夕刊2019年8月21日付]

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