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本場を上回る品ぞろえ 横浜の英国リンゴ酒がうまい

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「ビール、それともサイダー?」

英国人のクライブ・プールさんと道心華衣さん夫婦が営む、横浜市の英国パブ「FULL MONTY(フルモンティー)」に入ると、こんなふうに声をかけられる。日本で「サイダー」といえば甘い炭酸ソーダ。「パブなのにサイダーを飲むの?」と戸惑う人がいるかもしれないが、英国ではリンゴ酒を意味する。フランスでは「シードル」と呼ばれる、リンゴの果汁を原料とする醸造酒のことだ。リンゴ酒は欧米各国で造られ、この2、3年日本でも関心が高まっているが、実は、英国で特に広く親しまれている飲み物なのだ。

リンゴ酒というと女性好みの甘い酒を想像するが、サイダーの味わいは幅広く、ほとんど甘味を感じない辛口もある。英国の場合、アルコール度数はなんと8.5パーセントまで許されていて、同店のメニューにも7パーセントを超えるサイダーがずらり。口当たりがよいので、「お酒が強い方ほど、杯を重ねて酔われてしまう」(道心さん)そうだ。

「FULL MONTY」では英国だけでなく、フランス・スペイン・ドイツ・米国・日本産などと60~70種ものサイダーを扱う。英国のサイダー専門誌に「英国のどんな飲み屋よりサイダーをそろえている」と紹介されるほど。

15年前に店を始めた2人がサイダーに力を入れているのは、英国人のプールさんの影響と思いきや、道心さんが中学生の頃よりこの飲み物に引かれてきたことが理由。

「当時、母が飲んでいたニッカのシードルを少しもらい、すごくおいしいと思ったのが最初の出合い。バーに行く年齢になったら、今度は英国の大手メーカーのサイダーを飲むようになって。そのうちある東京のパブで、リンゴの味わいと香りが豊かで、これまで飲んできたお酒とはまるで違う英国サイダーに出合いました。衝撃を受け、こうしたサイダーを出す店を開きたいと思ったんです」(道心さん)

今では、200年以上続く、英国の最も古いサイダー醸造所の一つシェピーズなど、同国の3社と直取引をするほどになっている。

英国では15年ほど前から、小規模サイダーメーカーが次々と登場するようになったという。英サイダー関連団体ナショナル・アソシエーション・オブ・サイダー・メーカーズによれば、現在同国には500以上のメーカーがあるそうだ。

醸造所が増加したきっかけは、アイルランドの飲料会社C&Cグループが、「マグナーズ」というサイダーの販売に力を入れ、2006年それまでスコットランドとロンドンのみで展開していた同ブランドを英国全土で展開。パブで、パイント(約500ミリリットル)グラスに氷を入れ、栓を抜いたボトルと一緒に提供するようにしたことだと、プールさんは説明する。この年は猛暑で「氷サイダー」は大人気となった。これがターニングポイントとなり、英国でサイダー人気が爆発したのだ。

伝統的にはリンゴ栽培に適した気候の英国南西部がサイダー造りで有名な地域だが、今では、北部のスコットランドにも醸造所があるという。ちなみに小規模醸造所の増加は、世界的なクラフトビール人気とも連動した動きだろうと思っていたら、英国ではサイダー人気の方がぐっと先行。クラフトビールは、この2、3年ようやくはやりだしたらしい。

サイダーというと炭酸飲料の一種というイメージがあるが、「ファームハウス(農家)」や「トラディショナル」と呼ばれる昔ながらのスタイルのサイダーには泡がないタイプもある。一方で、モダンなスタイルのサイダーは、炭酸がしっかりしたシャープな味わいのものが多いという。ウイスキーやラムのたるで熟成したサイダーや、スパイスなどを使った変わり種のサイダーなど、その味わいは想像以上にバラエティーに富む。

「FULL MONTY」では4種類のサイダーのテイスティングセット(1100円・税込み)を提供しているが、試飲もできる。「必ずしもテイスティングセットに好みにはまるものが含まれているわけではないので、気後れせず相談してもらえれば合うものをお薦めします」と道心さんは促す。

同店では、「ドラフトサイダー」と呼ばれるサイダーもグラス売りで提供しているが、「生ビールのイメージでグラス売りの方がいいと思われるお客様が多いのですが、サイダーのほとんどは、『生』ではなく加熱処理をし発酵を止めています。ボトルや缶入りのサイダーの方が輸入されている種類が圧倒的に多いので、提供形式に囚われず様々なタイプにチャレンジして楽しんでください」(道心さん)

ところで、サイダーはどんな食事に合うのか。「好みはそれぞれ」と夫婦は異口同音に言うが、間違いなく合うと声をそろえたのがチーズ。そこで、同店のメニューから出してもらった料理が、ボリューム満点の「ペッパースティルトンステーキ」だ。200~250グラムもある牛ステーキの上にかかるのはブルーチーズとマッシュルームを使ったソース。道心さんが英国の地方のパブに行った際、飛び切りおいしかった料理を参考にしたメニューだ。パンチのある味わいのチーズを使ったソースだけでなく、肉もサイダーと実によく合う。また、道心さんが生地まで手作りする、肉がたっぷり入った英国流パイも好相性。

サイダーは軟らかな飲み口なので食事と共にぐいぐい飲んでも、ほかの酒より飲み疲れしないのもこの酒の特徴のように感じる。

「FULL MONTY」では、サイダーの専門家を招き、サイダーと料理を楽しむディナークルーズを開催したこともある。「特別なイベントでお客様にはすごく楽しんでいただけた」(道心さん)と、また同じようなイベントを開催したいと話す。日本人のサイダーへの関心は、まだスタートラインについたばかり。同店のような存在が、この飲み物の魅力を広く伝える役割を担っていくに違いない。

(フリーライター メレンダ千春)

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