2019/8/30

最低賃金の改定は働き方に関わる問題

こうした不安を解消するうえで、重要となってくるのは、生産性を高めることです。非正規雇用労働者が多いサービス業の労働生産性は、以前から低いと言われていますが、いかに生産性を高めていけるか、各企業の大きな課題といえるでしょう。

今後、人手不足が進む中で、外国人労働者や人工知能(AI)の活用も注目されています。2019年4月には入国管理法の改正によって、介護業や外食業など14業種において外国人労働者の受け入れが拡大されました。新しい在留資格である「特定技能」は、これまでの技能実習生と異なり、職場移動が自由にできます。そうなると、地方から最低賃金の高い大都市圏へ大量転職することも懸念されます。これは外国人労働力を当てにしていた地方にとっては大きな痛手であり、地方も最低賃金を引き上げる必要性が高まっていると言えます。

最低賃金の改定は、単に時給(給与)が上がる、という側面ばかりでなく、広く見ればあらゆる労働者の働き方に関わってくる問題であるといえるでしょう。今後の改定の動向についても、目が離せません。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。