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キャリアの原点

がん患者の家「マギーズ東京」 つぶやき続け得た同志 マギーズ東京 共同代表理事 秋山正子さん(下)

2019/9/10

――前例ないマギーズを日本に持ってこようと思った秋山さんも、まさに指示待ちと対極の行動力です。

「マギーズはスコットランドで始まりました。がんで余命宣告された造園家、マギー・ジェンクスさんが、自分のがん闘病の経験からこんな場所が欲しいと思ったのが始まりです。いつでもふらっと、専門家に治療のことを相談したり心の内を打ち明けたりできる場所が欲しいという彼女の思いを看護師が受け止め、マギーズセンターが始まりました」

■病院と自宅療養のはざまで、抜け落ちたもの

「私がマギーズの存在を知ったのは2008年のことでした。衝撃でした。というのも、21世紀に入った頃から、がん治療は随分と様相が変わってきて、病院と自宅療養のはざまで、患者さんの心のケアや情報提供がすっぽりと抜け落ちているのに気づいていたからです」

「がんは治療法の進歩に伴い、入院は短期間になり、あとは通院で治療を継続するケースが非常に増えました。これが何を意味するか、わかりますか。患者さんが病院で専門知識のある医師や看護師に会える機会が減るということなのです」

「『この薬の副作用が心配』といった具体的な疑問であれば、次の外来診察の時に医師に聞けばいいでしょう。しかし、『どうしても不安でたまらない』といった、言葉にもできない気持ちは外来診察で医師に相談できることでもないですよね。入院していて心が通じる看護師がいれば、そこで相談することもあるかもしれませんが、病棟勤務の看護師も忙しいし、なかなか聞きづらいでしょう」

「あくまでも、お話を聞いて一緒に考える隣人でいたい」」

――だから、ふらっと立ち寄れる相談場所としてのマギーズが必要なのですね。

「予約はいらないのも、そういう理由からなのです。そして、必ず専門知識のある有資格者が常駐するのも、必要な情報を常に提供できるようにしておくためです。ただし、私たちはここでは白衣は着ません。あくまでも、お話を聞いて一緒に考える隣人でいたいからです」

――マギーズ実現に向け、どう動いたのですか。

「何しろ前例のない組織です。費用もかかります。だから、いろんな人の協力が不可欠でした。そこで、私はとにかくつぶやき続けました。後進の育成では多くを語らない私も、マギーズの設立に向けて動き出した時は、冗舌にあちこちで語りました」

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