AI起業家は2児の母 会社も働き方も率先して変えるUWC ISAKジャパン 小林りん代表理事(5)

その一つが従業員の多様性だ。本社は日本だが、最大の開発拠点はベトナムにあり、開発にあたるエンジニアの7割近くがベトナム人だ。世界の大手企業が大量採用に乗り出していないベトナムに着目し、優秀な学生を継続的に採用しているのにも、シンガポールで起業した経験が生きているのだろう。従業員には米国や台湾の出身者などもおり、日本の大手から中途採用で加わった人もいる。多様なバックグラウンドを持つ人の集まりというわけだ。

小林氏は「平野さんの話では、国が違うと仕事の進め方や物事の考え方が異なることがあり、それが新しい発想につながるのだそうです」と話す。たとえば、ある企業へのAI開発提案で日本チームが行き詰まっていたとき、新たに加わったイラン人社員が欧州の事例を紹介。日本の商習慣を当たり前と考えていたチームに新たな視点をもたらし、プロジェクトを成功に導いたという。人材の多様性は、製品やサービスの開発にも効果的なようで「平野さんは、様々な違いを面倒などと思わず、むしろ楽しんでいるようです」(小林氏)。

多様な働き方、トップが率先

シナモンにはバックグラウンドの異なる社員が多い。その多様性が事業に推進力を加えているという=同社提供

17年と18年に出産し、現在2児の母である平野氏は、働き方の多様性という面でも特筆すべきトップだ。IT業界は残業が多く、長時間労働もしかたないとされがちだ。小林氏は「会社を率いる平野さんは、仕事も相当に多くて忙しいはずです。でも米国人の旦那さんの協力もあって、仕事と育児を両立しています。在宅勤務も交えて、メリハリをつけた働き方をしているようです」と感心する。

シナモンは勤務時間を固定しないフレックスタイム制を導入しているほか、自宅など会社以外の場所で仕事をするリモートワークも勧めており、働き方の多様化も強く意識している。小林氏は「他の女性社員にとっても働きやすい環境が自然にでき、人材の獲得にも効果が出ているようです。多様な人材が、多様な働き方で活躍していれば、さらに様々な優秀な人材が集まりやすくなる――。そんないい循環が生まれているのではないでしょうか」と指摘する。

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