要点3 言葉尻に反応した悪口雑言は禁物
「気持ちでキレても言葉ではキレない」のが上手なキレ方。いくら頭に来ても悪口雑言を返しては、肝心なことが伝わらない。気を付けたいのは、相手の言葉尻に反応しないこと。例えば「どうしてそんなことを言うんだ?」という言葉は疑問形だが、本人の意図は「そんなことを言われて不愉快だ」という断定。「あなたは全然分かっていない」は形としては全否定だが、「全然」は感情を強調する表現にすぎない。前者に理由をまともに説明したり、後者の「全然」を真に受けたりしてはダメ。「それほど頭に来ているのですね」などと、ひとまず第三者的な共感の言葉を返せば意味のない言い争いを防げる。これはカウンセリングの現場でも使われている技術だ。
要点4 切り返しぜりふのデータベースを作る
上手にキレるために必要なのは強いメンタルよりも日本語の運用力であり、その技術は学習と練習で身に付く。上手にキレる人を観察するなどして場面に応じてどうキレるか、どんな言葉を使うかを考えておこう。相手をじっと見つめ返す、ため息をつくなど、言葉なしのリアクションもありだ。セクハラに対してなら、「コンプライアンスってご存じですか」のような一言だけを返すのが有効なことも。マツコ・デラックスのようなタレントの話術やマンガ(著者のおすすめは『深夜のダメ恋図鑑』尾崎衣良・著)を参考に、切り返しのデータベースを作るといい。
(手代木建)
[日経ウーマン 2019年9月号の記事を再構成]