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「キレる」は生き抜く必須技術 脳科学者が説く活用法 人生の景色が変わる本(7) 『キレる!』

2019/8/22

中野信子著 小学館新書

「キレる」のは必ずしも悪いことではない、という著者の主張が斬新。自分本位の怒りをぶつけ散らしてはいけないが、良いキレ方をすれば自分の意思をはっきり相手に伝えることができる。それは社会を生き抜くために身に付けるべきコミュニケーションスキルだという。キレることなく言いたいことをつい飲み込む人は、いいカモになってしまう(何を言われても黙ってニコニコしている日本人は、海外ではカモと思われているフシがある)。言い返さないでいると、いじりがやがていじめにエスカレートし、経済的にも時間的にも搾取され、マインドコントロールされる恐れすらある、とも。上手にキレる技術は学習によって身に付けられるとの指摘は、脳科学者の言葉だけに救われる。

■要点1 キレる理由とパターンを認識する

人がキレる理由は多くの場合、脳科学的に説明できる。高齢者に多いのは、感情をコントロールする大脳・前頭前野の加齢による萎縮。思春期男子の攻撃性は男性ホルモン、テストステロンの大量分泌。家族間の暴力は身内への愛着を強めるホルモン、オキシトシンの過剰、といった具合。理由を知れば対処のしようがあるし、仕方がないと放っておくこともできる。例えば、高速道路で車を降りて因縁をつけてくるような人は、脳内に快感をもたらすドーパミンが出ている可能性大。話をしても無駄なので、すぐに警察を呼ぶべきだ。

周りにキレやすい人がいるなら、どういうときにキレるのかを把握しよう。プライドを傷つけられたとき、縄張りを侵されたときなど、パターンが分かれば注意することで攻撃を回避できる。自分についても同じことを認識しておけば、むやみにキレずに済む。

■要点2 早めに正しくキレて手強い人と思わせる

攻撃的な人、相手を支配したがる人にはあえて従順な態度で接するのも、自分の立場を守る一つの手。しかし、自分が引けば相手も引いてくれるとは限らない。かえって強い態度で踏み込んできたら、「ここから先はダメ」だということを態度で示す必要がある。相手は、自分の要求を黙って受け入れるタイプかどうかを見ている。覚えておきたいのは、初動が肝心だということ。人間関係が出来上がってからでは遅い。最初の理不尽に対して正しくキレて、「こいつは言うときには言う、侮れない人間だ」と思い知らせよう。

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