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仏ジュラ地方のザリガニ料理を味わう 東京・東大前

2019/8/26
「天然鯉(コイ)のムニエル 赤ワインソース ベトラブのサラダ オレガノの香り」

同店の屋上で育てられたオレガノをあしらって仕上げているのは、季節の前菜2品目である天然コイのムニエル。コイもザリガニ同様、北海道・阿寒湖産で、内臓とエラを処理した鮮度の高いものが届く。

ベトラブとはビーツのこと。ホイルで包み丸ごと3時間ローストし、ビーツならではのややアクのある大地の味を封じ込めている。輪切りとスライス、2種のビーツで食感にも変化を。

ビーツの上に添えるのは、フランボワーズビネガーでマリネした赤タマネギ。赤色のグラデーションが実に美しい。

深紅色のソースは柔らかな酸味と甘みのまったりした味わい。コイの骨、野菜、ポルト酒、ビーツのエキスなど幾重にも合わせて生まれる、赤ワインとフランボワーズビネガーがベースのソースだ。レースのような飾りは、ジャガイモのピューレ。

ビーツ、コイ、コイの下の紫キャベツ、赤タマネギなど、個性豊かなパーツを自由に合わせながら口に運ぶと、一つひとつの食材が突出して印象に残るのではなく、すべてがまとまって一体になっているような……。

「一つの皿の上に、主役がないのが僕の料理なんです」(市岡シェフ)。

皿にちりばめたすべてを食べた時、はじめて一つの料理になるという考え方「キュイジーヌ ロン(丸い料理)」が市岡シェフのベース。

「伊達鶏とモリーユ茸(タケ)のヴァンジョーヌソース スパイスを効かせたリゾットを添えて」

メインはジュラ地方の郷土料理であり、市岡シェフが働いていたジュラのレストラン「ジャンポール・ジュネ」の定番だったメニュー。この料理を受け継ぐ料理人は他になく、現在、味わえるのは「Ma Poule」だけだという。

合わせるワインは「Arbois Savagnin BIO(アルボワ サヴァニャン ビオ)」。

ジュラ地方固有種のブドウ「サヴァニャン」100%で作られた、ジュラ独自のワインだ。

「実はこれ、『プチ・ヴァン・ジョーヌ』と呼ばれる、ヴァン・ジョーヌの赤ちゃんなんです」と、ゆう子さん。

「ヴァン・ジョーヌ」とは、黄色ワインとも呼ばれる、フランス・ジュラ地方独特のワイン。大きな特徴としては、「サヴァニャン」を原料とすることと、熟成にかける時間が非常に長いこと。その期間、なんと6年3カ月。

たるの中で6年3カ月間じっくりと熟成させたものだけが、初めて「ヴァン・ジョーヌ」を名乗ることができるのだ。

柔らかな酸味と深みが複雑に絡まる味わいが魅力だが、食中に飲むにはやや香りが強すぎる。そのため、料理に合わせる際は、2年6カ月酸化熟成のサヴァニャンを勧めているのだ。

クリーミーなソースをゆっくりたっぷり注ぎ、テーブルの上でスペシャリテが完成。ソースにも「ヴァン・ジョーヌ」をふんだんに使っているので香りと酸味が立ち、見た目は濃厚だが、思いのほか軽やか。

伊達鶏はムネ肉のムースを同モモ肉で巻いて、スチームコンベクションオーブンに入れて火入れ。そこで気になるのは、あえて伊達鶏を選んだ理由。

「伊達鶏は、フランスのブレス鶏の飼育方法を手本にして生まれた銘柄なんです。鶏肉自体の主張が強すぎないため、ソースが主役のこの料理にもよく合います。ソースに寄り添う肉質なんです」と、市岡シェフ。

ブレス鶏はリヨン・ブレス地方で育つフランス料理にとって大切な食材だ。

リゾットは黒米と赤米入り。ひと口含んで広がる香りに驚く。ターメリックやクミンなど、カレーを思わせるスパイスが効いているのだ。

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