本田圭佑に直談判 サッカー挫折した学生起業家の執念ホームステイ仲介のダイバーシーズ 洪英高社長

2017年9月に帰国後、すぐに留学生向けSNSを本格的に始動させた。まずメンバーを集めた。最高技術責任者(CTO)の三城瑛児さんとはSNSで知り合った。最高執行責任者(COO)の西原寛人さんは「トビタテ!」が縁だ。エンジニアはマーカス・ジャクソンさん。スタンフォード大学から同志社大に留学していたときに知り合った。

失敗したからこそできた方向転換

ダイバーシーズを起業したのは2018年1月。しかし「経営者として最悪の判断をしてしまった」と洪さんは振り返る。「プログラミングを構成しているコードをきれいに書き直すのに3、4カ月費やしてしまった」。留学生のSNSにニーズが本当にあるのかを考えることもなく、目の前のプログラミングしか見えなくなっていた。利用者は増えず資金も足りなくなった。自責の念にかられた。

しかし、洪さんには周囲の人に「放っておけない」と思わせる“巻き込み力”があるらしい。そんな状態でも、投資してくれる人が数人現れた。本田選手も激励に来て「ピボット(方向転換)を恐れるな」と声をかけた。「留学生向けSNSをやめ、方向転換する勇気がもてました」

留学時にお金がなく、学生寮を渡り歩いた経験が事業のヒントに

そのころ洪さんのなかで過去の経験が線でつながる瞬間があった。「住む場所」の問題だった。

上京したとき、「プログラミングを学ぶ」とSNSなどで表明したところ「僕の空き家を使って」という人が現れて、家賃無しで5カ月過ごせた。留学時は奨学金の支給が渡米に間に合わず、スタンフォード大の学生の寮の部屋を渡り歩き、3カ月しのいだ。さらに、米国内で旅行した際には、ホスト宅に無料でホームステイさせてもらう「カウチサーフィン」というサービスを利用した。ホストたちと星空を眺めながら語り合った時間は今も宝物だ。

「長期滞在するために来日する外国人が最初に直面する問題が住まい」と洪さんは指摘する。不動産情報はほとんどが日本語で、外国人だという理由だけで断られることも多い。そんな人たちを、ホスト宅で受け入れられたら……。長くもがいた日々を経て、ホーミーは生まれた。

「住む場所は挑戦の足場であり、人生を豊かにする。この思いを詰め込んだのが、ホーミーです。ホーミーを通じ人の輪が広がっているのは本当にワクワクする。起業の醍醐味です」と熱っぽく話す。しかし、すぐに表情を引き締めてこう続けるのだ。「でも、僕は起業を万人に勧めない。迷っているならしないほうがいい。死ぬほどつらいことの連続だから」。挫折と曲折を経た洪さんの、覚悟の大きさを見た気がした。

(藤原仁美)

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