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ハエの幼虫に循環社会の夢を見た 東大医学部生の挑戦 グラビン代表 川本亮

2019/9/2

川本亮さん。試作品を置く場所を提供してもらったクックパッド本社で

「こいつらかわいくて、もう、死んでほしくないですもん」。

爽やかな笑顔と、手のひらでうごめくハエの幼虫とのギャップは強烈だった。東京大学医学部の3年生で、医者のタマゴであり駆け出し起業家でもある川本亮さんのチャレンジは、ハエの一種「アメリカミズアブ」の幼虫を使った食料循環モデルの事業化だ。ハエの幼虫を相棒に、チームで世界を救おうとする川本さんの未来図を聞いた。

■クックパッド本社のキッチンが実験場に

東京都渋谷区の恵比寿ガーデンプレイスにあるクックパッド本社。受付を抜けたフロアの半分ほどを占める巨大なキッチンで、社員らがひっきりなしに料理レシピを試していた。おいしそうな香りが漂い、おなかが減ってくる。なぜ、ここが取材場所なのだろう……。

キッチンの一角に置かれた黒い箱に目がいった。ガラス部分から中をのぞくと、野菜などの切れ端とともに、それを旺盛に食する1~2センチほどの白い幼虫がたくさん……。驚いて思わず声を出しそうになったが、これこそが川本さんがつくった食料循環装置のプロトタイプだ。

アメリカミズアブの幼虫は強力な消化液でキッチンから出た生ごみを分解し、食べ尽くす。栄養が体に行き渡った幼虫は、今度は自らが高たんぱくの食物として装置上部の水槽で泳ぐ金魚のエサになる。ぐるぐるっとめぐる食物循環の輪。この箱に、川本さんが夢見る未来が詰まっている。

箱の中では幼虫が生ごみを食べていた

今回は金魚の餌として活用しているが、将来的には養鶏や魚類養殖などの肥料としての利用も期待できる。もし、もっと大規模な形で実現すれば、生ごみ問題と食料問題に同時に切り込めて一石二鳥だ。川本さんのビジョンに共感したクックパッドが、自社のキッチンの一角を「実験場」として提供したのだ。

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