検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

サカナクション、常にトレンドのバンド(川谷絵音)

ヒットの理由がありあまる(13)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

今回は僕が大ファンのサカナクション! 6年ぶりのアルバム『834.194』がようやく出たということで、僕は本当にうれしいんです。

彼らほど大衆に受け入れられ、なおかつ、コアな音楽ファンにも認められているバンドって他にいない。「フジロック」に出ても生配信のコメントは荒れない。それはライブのレベルが高すぎるから。誰も文句を言えないんですよ。6.1chサラウンドのツアーといった、誰もまねできないクオリティーのライブコンセプトや、「NF」などのクラブイベント。アーティスト写真には、シャルロット・ペリアンのミッドセンチュリーソファー(僕も影響されて同じのを持っています)など、とにかくセンスが抜群。いろんな業界のセンスの良い部分を敏感に感じ取って、すぐに取り入れる。

今は、もう音楽を曲の良さだけで見せる時代ではない。ストリーミングや配信が主になってきていて、曲のリリースに時間はかからないから、日々いろんなアーティストの新曲が配信される。だから、より多角的な見せ方をして、アーティスト自身の立ち位置をはっきりさせないと、すぐに埋もれてしまうのだ。そんななか、サカナクションは昔から多角的な見せ方をしていた。ライブ、ミュージックビデオ、ジャケット&アーティスト写真に至るまで、ずっと挑戦を続けてきた。アルバムを6年出さなくても、サカナクションはずっと音楽業界の最前線にいたし、注目せざるを得なかった。

そして映画『バクマン。』の主題歌となった『新宝島』の破壊力はすさまじかった。リリースされたのは2015年、4年も前だ。だが、6年ぶりの今作にも収録できる。トレンドというのは移り変わっていくものだが、『新宝島』はずっとトレンドだ。いつ聴いても新しいのだ。彼らのすごさはそこにある。根底にあるのはダンスミュージックなのだが、そこに合わさる(山口)一郎さんの歌心が、日本人誰もが内に秘める部分と共鳴しているのだ。童謡に近いと言えばいいのだろうか、日本人が安心する旋律が歌に内包されている。そこに高揚感と緊張感の合わさったダンスミュージックが顔を出す。安心と緊張を行き来する絶妙なフュージョン感が、僕らを虜にするわけだ。

焦らし系ソングが生み出す高揚感

先行トラックにもなった『ナイロンの糸』は、サカナクション特有のサビがなかなか出てこない焦らし系の曲。この焦らしは『夜の踊り子』などとも共通しており、Bメロを何回か繰り返し、枯渇感をあおってから最後にサビがくる。ちなみに僕も、indigo la Endの『冬夜のマジック』 でこの手法を取っている。最後のサビの高揚感たるや、普通にサビが何回もある曲と違って、エモさ増し増しなんですよ!

しかも『ナイロンの糸』は最初は抑え目の軽いビートで、2番のAメロから4つ打ちのビートが入り、徐々にサビを予感させてくるんですよね。でもなかなかこない。2番はBメロの前にさらに間奏が入って、Bメロすらも焦らされる。そんなことされたらより欲しくなっちゃうんですよね、サビが。そして最後に「この海に居たい」と何回も繰り返すサビ。夜の途方もなく暗い海の景色が、僕の頭には広がって離れなくなった。ズルい。最初の先行トラックがキャッチーな『忘れられないの』ではなく、この『ナイロンの糸』なのもズルい。

ストリーミングや配信では、アルバム情報を出した後に、徐々に先行トラックを解禁していき、アルバムを期待させていく手法が王道だ。そんななか、重要なのは解禁していくトラックの順番。最初に『ナイロンの糸』という、どちらかといえば地味な曲から出していったのは正解だと思う。これも一種の焦らしだ。

サカナクションはズルいバンドだ。ミュージシャンの夢が詰まってる。彼らを見ていると、ダンスミュージックに興味を持つし、アートにも、ミッドセンチュリーの家具にも興味を持つ。そんなことある? 常にトレンド、それがサカナクションなのだ。

川谷絵音
1988年12月3日生まれ、長崎県出身。ゲスの極み乙女。、indigo la End、ジェニーハイ、ichikoroといったバンドのボーカルやギターとして幅広く活躍。ゲスの極み乙女。の新曲『秘めない私』を現在配信中。indigo la Endは、10月9日に5thアルバム『濡れゆく私小説』をリリースする。

[日経エンタテインメント! 2019年8月号の記事を再構成]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_