中川翔子 中学で孤立した私を守ってくれたiMac

「キモい」とか「大っ嫌い」とか悪口や陰口を言われ、クラスでひとりぼっちになってしまいました。苦しすぎて吐いてしまうと『ゲロマシーン』とあざ笑われ、心はぼろぼろ。

5分の休み時間でさえ早く始業のベルが鳴ってほしくて、トイレに隠れたり、廊下のロッカーの教科書を入れ替えて忙しいフリをしたり。それがフリであることも、ひとりぼっちで恥ずかしいと思っていることも、きっと周囲にバレている。それがさらに自分をみじめな気持ちにさせました。

授業が終わると逃げ帰り、自分の部屋へ駆け込みました。絵を描いて、音楽を聴いて歌って、漫画を読んでゲームして、iMacでネットサーフィンして……。現実を守るために「好きなこと」で身を固めていたんです。

死にたいと思った夜もあったけれど、明け方まで好きなことに没頭するのは、学校でのつらいことを忘れられる唯一の時間でした。

長く学校に行かなくていい夏休みは、特にネット漬けの毎日。朝陽とともに外からラジオ体操の音が聞こえて、「午後から塾があるから寝なきゃ……」とあわててベッドに入るものの、夕方まで起きられず自己嫌悪に陥ることもしょっちゅう。ドロッとした当時の日々は、「死ぬ選択肢以外のことをして生き延びていた」との表現が近いかもしれません。iMacが1日、1日をつないでくれていたんです。

中学時代の中川さんは「現実を守るために好きなことで身を固めていた」という

つらい中学時代が貴重な経験値に

タレント活動をするようになってからも、「無駄にした時間を取り戻したい!」と中学時代を上書きしたい貪欲な気持ちがありました。私が好きな漫画の世界では14歳、15歳の女の子がキラキラと青春を謳歌しているのに、私の青春は思い描いていたようなものではなかったから。

同時に、中学時代の「闇の自分」もまだいました。歌うこと、声優のお仕事をすることなどたくさんの夢がかなってうれしいし、もっとやりたいこともある。でも不安、自分になんてできるわけがない……。そんな恐怖がありました。

それを変えてくれたのはブログでした。ブログで「好き」を発信し続けるうちに、徐々に言葉の力で良いほうに考えが変わっていったんです。

「ポケットモンスター」(ポケモン)好きが高じて、テレビ番組「ポケモンの家あつまる?(ポケんち)」(テレビ東京)に出演させてもらっています。出演者のみなさん、ゲストに来てくださった方ととても仲良くしています。劇場版ポケットモンスターを一緒に映画館へ見に行き、今度は「リアル脱出ゲーム」に行こうと計画しているんです。まさに、中学時代に手に入れられなかった「青春」です。

ポケモンをはじめ自分の「好き」でたくさんの人とつながれるのは、あの苦しさから逃げるように、独りで没頭した時間があったからだと思います。アニメの2時間番組に出演してもいくらでもしゃべれるのは、あの頃の情報がたくさんの引き出しを作ってくれたから。ものすごく吸収していたんです。

もしも学校生活や放課後がキラキラと充実していたら、あそこまでの熱はなかった。未来の自分を助けてくれる経験値として、全て意味があったと思えるようになりました。30代になって、「壮大な『結果オーライ』ってある!」と思えるようになったのです。

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