愛と修羅場がリーダーの道 「一国一城」任せれば育つピジョン 山下茂会長(下)

ピジョンの山下茂会長
ピジョンの山下茂会長

ベビー用品大手ピジョンは経営理念として「愛」の1文字を掲げる。漠然としているようにも思えるが、山下茂会長(61)は社員一人ひとりに直接、その理念を説いて回ることに努めた。ただし「親が子に注ぐような愛を顧客にも」と説くと同時に、「売上高を積みませない理念では絵空事」とも語る。社長になって、自分らしいリーダーとは何かを考えたとき、何のために働くのかという理念を社員に納得してもらわないとダメだ、と考えたからだという。

◇  ◇  ◇

――ピジョンは「愛」を経営理念や社是に掲げています。

「当社の経営理念は『愛』で、社是は『愛を生むは愛のみ』です。素晴らしい経営理念だと思いましたが、それを自分の言葉で語れる社員が何人いるのかと疑問も感じていました。当社は海外事業を拡大しており、海外の社員も増えています。現在、海外の売上比率は5割を超えています。社長に就任したとき、やはり自分の言葉で理念を語り、社員に腹に落ちてもらう必要があると感じました」

「例えば2004年に米国の育児用品メーカー、ランシノ・ラボラトリーズを買収して私が社長になったときに、『オンリー・ラブ・キャン・ビー・ゲット・ラブ』と英語で社是を伝えたんですが、『はあ?』という反応でした。男女の愛を想像したようです」

全ての拠点で新たなビジョンを自ら説明

「経営理念は1985年に2代目社長を務めた仲田洋一最高顧問が制定したのですが、このままでは伝わりにくいと思い、私が社長になったときに仲田の許可を得て『ピジョンウエー』という活動方針や考え方を定めました。まず、使命として、愛を製品やサービスの形にして提供する。それで世界中の赤ちゃんと家族に喜びをもたらす、と決めました。ここでいう愛とは、お母さん、お父さんの子供に対する無償の愛に近いものです」

「でも、まだもやっとした感じですよね。そこで、『何のために働くのか』という原点に戻って、『誠実、コミュニケーション・納得・信頼、熱意』という3つの価値観を掲げました。さらに『迅速さ』『瞳の中にはいつも消費者』『積極的な改善・改革志向』など5つの行動原則も定めました。これらのピジョンウエーについて、海外を含む各支店や営業所を全て回って、私が直接、その意味とつくった狙いを説明しました」

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧