国家対立と金融市場 振り子の向かう先は(平山賢一)東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

写真はイメージ=PIXTA
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米国と中国の対立、ブレグジット(英国のEU離脱)、東アジア諸国の関係悪化等々……最近は国際関係の悪化がメディアで取り上げられない日はないといってもよいほどです。冷戦終結以来、忘れられていた「国家と国家の対立」は、2010年代では当たり前のような状況になっています。トランプ米大統領の発言や中国政府の対応が金融市場を左右するだけに、投資のプロの世界でも国際政治は議論すべきアジェンダの先頭に位置づけられるようになってきています。

私たちは投資をする際、現代社会における国家対立と金融市場の関係について、頭の中を整理しておくべきです。今回は拙著「振り子の金融史観」を基に現在の捉え方と将来について考えてみましょう。10年以上前に著したものですが、今こそ役立つ視点だと思います。

2つの極の間の「振り子」

歴史をひもとくと、20世紀以降の金融は2つの極を行き来する「振り子」で考えると分かりやすいことに気付きます。

振り子は数十年ごとに右へ振れ、そして左に振れる動きを繰り返しています。右へ振れる時は成長が緩慢になり、金融市場が不安定になります。そのため各国政府は金融市場に介入することで何とか安定を保たせようとする「規制強化・介入強化の時代」となる傾向があります。それに対して、左へ振れる時には企業などの民間部門が主導して高成長を謳歌し「規制緩和が進む時代」になります。

今は右に向かう「自国優先・ブロック化」時代

時期を当てはめると、右方向への時代は(1)1910年代(3)30年代から40年代にかけて(5)70年代から80年代にかけて(7)2000年から2010年代にかけての現代――となります。この時期は対立・戦争という分裂化・自国優先の流れが足を引っ張り、保護貿易が台頭するブロック化の時代といえるでしょう。企業業績にも暗雲が漂い株式市場が不安定化し、そのため政府による市場介入が強化されやすくなります。

確かに第1次世界大戦、第2次世界大戦、中東戦争や冷戦など、国際関係が一層悪化する時期と重なります。そして現代も、この振り子が右に振れる時期と捉えるならば合点がいくでしょう。2001年の米同時多発テロ事件を節目として、世界各地での政治的対立は1990年代のグローバリズムとは正反対の方向へと向かい始めているのです。

■左への振幅は「グローバル化」の時代

一方、後者の左方向への振幅時代は、(2)1920年代(4)50年代から60年代にかけて(6)90年代であり、協調・平和により世界中が統合化される流れに支えられ、自由貿易が拡大するグローバル化の時代でした。民間企業の業績成長期待が高まるため、株式市場に追い風が吹きやすく、一種の株式バブルに似た様相を呈します。

私たちの頭の中には、振り子が左に振幅する時期に1920年代の株価上昇、60年代にかけての米国黄金時代、90年代後半のITバブルなどの発生が思い浮かびます。左極にあたる1929年、1968年、1999年には米株価指数がピークアウトしています。

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