あたりまえに思えるこんなことを、就職・転職活動を行っている多くの人は気づいていません。なんとか面接してもらえれば、本当の自分をアピールできれば採用される可能性が高まる、と考えてしまうのですが、それらは時間の無駄でしかありません。
例えば、経理の専門家を雇いたいと思っている企業に対し、10年を超える経理業務歴を提出して面接にこぎつけた人が、実はずっと営業がしたかったが前職の都合で経理が長くなっただけだ、という話をしたらどうなるでしょう。そのことを前向きに取ってくれる会社もあるでしょうが、大半の会社では「いや今うちがほしいのは経理の専門家だから」として、不合格ということになるでしょう。
求める人材像に沿った経歴書を書けているか
だから重要なことは経歴書の時点で、採用する企業側が求める要件を満たしていることが大前提なのです。その後に続く面接では、極端に言えば、経歴書がウソでないということが確認できればよいのです。
前回示した「デキる新卒」は、最初の時点で、コンサルティングファームに求められそうな経歴を示してくれました。それは例えばクライアントが求めるレベルの成果品を作製したり、その成果品を作り上げたりするための思考や意識を示すものでした。
面接の場では、それらが確かに本当だ、という確認ができたので、採用に至ったわけです。
最近では、面接だけでなく、実際にその人物を知っている人から裏を取るなどもできます。新卒ですらフェイスブックなどを通じて「●●君を知ってますか?」という確認がとれます。
いわんや中途採用時であれば、その可能性はもっと高まります。
求められることを意識して経歴を積んでいるか
会社が求めるTに対して、自分自身の経歴をC(Career)と定義してみましょう。
採用活動とは、このTとCとをマッチングさせる活動のことです。
そのために、A経歴書などの確認⇒B面接などでの確認、という採用プロセスを活用しています。
そこで大事なことは、A、Bそれぞれの活動の巧緻ではなく、むしろCをしっかりとTにあわせていくこと、あるいはCにあったTを探していくことなわけです。
デキる新卒たちはそれぞれ、学生でありながらも自分のCをしっかりと意識しながら歩んでいました。そしてそのことをアピールもしてくれました。
転じて、多くのビジネスパーソンは日々の目の前の仕事に集中するあまり、自分のCについての意識が薄れてしまうことがあるようです。
気が付けば転職を考えるときに、自分のCにあったTが存在しない、ということにもなりかねません。
ぜひ自分自身のCがどのような状態にあるのかを整理してみてはいかがでしょう。
学生ですら、毎年自分の1年間を振り返って何ができているかを確認しているのですから。

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