逆に、数年前に非常にスリムなスタイルが流行した影響もあり、今の感覚だとぴたっとしすぎるシルエットのものがあります。そういったスーツはパンツの裾幅も細く、パンツ丈も短く仕立てられたものが多いので、行き過ぎていると非常に軽く見えてしまい、きちんとしたお父様のイメージにならない恐れがあります。

意外に印象を大きく左右するのが袖口=PIXTA

もし、上のどちらかのようであれば、この際できれば普通にフィットするシルエットのものをお求めになったほうがいいでしょう。

もうひとつ、意外に印象を大きく左右するのが袖口です。スーツの袖からシャツの袖がいい感じでのぞいていると「できる印象」が強くなります。「いい感じ」は約1.5cm。ここに気をつけてください。

また、自分のことだけを考えず、奥様とのバランスも考えることが重要です。「お受験」事情に詳しい識者が言うには、「考査では『成育環境として家庭の調和はとれているか』という視点でお父様やお母様を見る。だから2人の装いがつりあっているか、『バランス』は大切」とのこと。自分一人がおしゃれでも奥様だけがきちんとしていてもダメですし、「つりあいがとれている」印象が大事であるわけです。

例えば、ネイビーでもトーンがよく似たネイビーであったり、厚さや質感が似ている生地であったりすることに留意すると、バランスがとれた印象になります。

「女性をエスコートするとき男性の装いは一種の壁紙と考える」。ダンディーな男性の心得として「エスコートの時には女性を引き立てることを考え、自己主張し過ぎない装いを選択する」という意味でそんな風に言われます。お受験の場合は、主役はお子様ですから、ご両親そろってお子様の良い背景になるイメージであれば良いのではないでしょうか。

■当然見られる所作 見逃しがちな座ったときの足元

服装も気になりますが、所作も気になりますよね。お辞儀の仕方、「どうぞ」と言われて座るなど、就職面接でも大事だったことは、きっと身についていらっしゃると思います。

私はお受験の面接には立ち会ったことはありません。ですから、一般に大人の男性として好感や信頼感を得やすい所作としてお伝えするしかないのですが、座っている際にそのちょっとした姿で印象を損ねている人を多く見ますので「座り方」には気をつけていただきたいと思います。

先日、選挙前のあるニュース番組で各党の代表が政策を主張し合う番組がありましたが、政策はともかく、8割の方々が背もたれにべったりと背を預けて、おなかを突き出した格好で座り、足をだらしなく広げているのを見て、かなりがっかりしてしまいました。見た目がだらしないと、言っていることもあまり頭に入ってこないような気がします。

さすがにお受験の面接ではこれをやる人はいないと思いますが、「見られている」場面では、座り方にも気をつけていただきたいものです。背をのばし、足は肩幅くらいに開いて座るようにしてください。

同じことを以前「カジュアルも足元注意」で言ったのですが、「できない人」「頼りない人」の印象を生むのは「ハの字」と「逆ハの字」の座り方です。

よくあるもったいない例は、ご本人は背を伸ばしてきちんと座っているつもりなのに、膝から下に意識が行っていないことで、損をしている例です。「がんばっているのに、見た目の印象は逆」。こんな例を今まで多く見てきました。

「ハの字」は、つま先が内を向いて、ひざから下が「ハの字」のようになった格好です。そして、「逆ハの字」はつま先が外を向いてヒザがだらんと横に広がり股を開いたような座り方です。

膝から下の印象のせいで「何だか頼りない」「いまひとつ品が感じられない」という印象の人は本当に多いのです。ですから、ここはもう一度、あえて言わせていただきます。

いかがでしょうか? 「できる男のスタンダード講座」的な視点から、「お受験」でのお父様の服装や所作について、思うところをお伝えしました。「お受験」に賛否があることは承知していますが、競争に参加するならベストをつくしたいですね。

それに、一般のビジネスシーンでも厳格なビジネススタイルにしなければいけないときははあるはずです。そんなときに、しっかりキメることができることは大人のビジネスパーソンとしても必要なことだと思います。ここぞという場面で、服装や所作で「しっかりした感じの方」「信頼できそうな方」と相手に感じてもらえることができる人は、それがビジネス相手だろうと面接官だろうと、良い結果を常に手にできる人であるはずです。

丸山ゆ利絵
 ホテル西洋銀座やアークヒルズクラブなどを経て2010年、経営者などに「ふさわしい存在感」の演出方法を助言するコンサルティング会社、アテインメンツ(大阪市)を設立、代表に就任。15年、ビジネスマンに正しいスーツの着方を指南する「スーツ塾」を開講。 著書に「『一流の存在感』がある人の振る舞いのルール」(日本実業出版社)など。

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