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企業が大学生の知恵求む 社会課題解決に新鮮な風を

広がるプロジェクト型授業(2)

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NIKKEI STYLE

学生の主体的な学びを促す新しいスタイルの「プロジェクト型授業」が広がっている。連載の第2回は立教大学経営学部国際経営学科、西原文乃准教授によるSDGs(持続可能な開発目標)教室。ヤマト運輸やANAなどの協力を得て、大手企業が抱える課題を学生が読み解き、担当者とともに実践的思考力を鍛えた。

「なんでもいいです。こんなサービス、あんなサービスがあったらいいなと思うことがあれば手を挙げて教えてください」

ヤマト運輸事業構想プロジェクトプロジェクトマネージャーの斉藤泰裕氏が約30人の学生に向かって呼びかけると、次々と手が挙がった。

斉藤氏は、西原准教授が担当する演習のゲスト講師として招かれた。学生と企業が一緒になって身近なSDGsを探すことがテーマだ。学生の主体的な学びを促すため、西原准教授は企業側と授業内容について綿密な打ち合わせを重ねた。

SDGsは国連が定めた持続可能な開発目標のこと。企業にとり、利益の最大化と社会的な価値創造の両立を迫っている意味で無視できないテーマになっている。学生の関心は高く、受講希望者は定員をオーバーした。

西原准教授がヤマト運輸を選んだ理由は、同社は直接的にSDGsをうたっていないものの、業務内容はSDGsにつながるヒントに満ちているからだ。例えば、日々大量の車両が稼働し、段ボールを使っていることから、SDGsゴールの7番目「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」や13番目「気候変動に具体的な対策を」と関連性が深い。実際に多くの学生が同社の「宅急便」を利用しており、身近な話題でもある。

さて、授業の続きに戻ろう。

学生の提案、企業担当者がSDGsへの気づきへと転換

斉藤氏によれば、2018年度の実績で年間の総配達個数は18億353万個。稼働車両は1日約3万5千台に上る。「世の中の変化は激しく、宅急便の使い方も時代に応じて変化してきている」といい、かつては進学や就職などで一人暮らしをしている子どもに両親が仕送りの品々を送るなどのニーズが多かったが、近年では、Eコマースやフリーマーケットアプリ経由で利用する顧客の割合が増えている。

その一方で、取り扱う荷物の数が増える一方で、深刻なドライバー不足にも悩まされているのは報道の通りだ。

授業では学生から、こんな質問が飛び出した。「宅配でアコースティックギターを送りたいのですが、ハードケースに入れないと送れないと言われます。しかし、ハードケースを買うと1万円くらいしてしまう。送料込みで考えると、高くて考えてしまいます」

これに対して斉藤氏は「学生にとって1万円は高いよね」と共感し、「繰り返し使えるような専用の梱包材を作るというのも1つの解決法かもしれない。安くあがるし、環境にも負荷をかけずに済む」と回答した。学生の個人的な「モヤモヤ」と企業のSDGsへの取り組みの足並みは、ひょっとしてそろうかもしれないという感覚が教室内に広がった。

ほかには、「実家から荷物を送ってもらうのに宅急便を使っているのですが、常温の荷物とクール宅急便が別々で送られてきます。あれを一度にまとめることはできないでしょうか?」との質問も出た。斉藤氏は即座に「それは面白い意見だ」と反応し、こう返した。

「冷蔵サービスが環境にいいのか悪いのかは、いま一度考える必要があります。『クール宅急便』を始めた頃は、大きな蓄冷剤を入れていた。それが今は電気式でコンテナを冷やして運んでいます。蓄冷剤の技術革新も進んでいるため、場合によっては最新の蓄冷剤を使うことで対処できるかもしれない」

この後も教室では活発な質疑が続いていた。

チーム別発表会 ヤマトとウーバーイーツとの連携提案

実際に荷物が運ばれる現場はどうなっているのだろうか。学生たちは後日、ヤマト運輸の日本最大級の物流ターミナル「羽田クロノゲート」を見学した。2013年10月から稼働しているこの物流ターミナルでは、104台のトラックが同時に荷物の積み下ろしをできる広さがある。荷物は時速9.7キロメートルで動くベルトに運ばれ、自動で仕分けされていく。

学生たちはチームに分かれ、社会的価値を創造するためにヤマト運輸が取り組むべきことなどを議論。最終発表では、ドライバー不足や再配達率の高さに注目する発表が目立った。あるチームは、この2つを解決するためにヤマト運輸とウーバーイーツの連携を提案。ウーバーイーツの配達員が再配達の荷物を運ぶことで両者にとってメリットがあり、例えばSDGsの8番「働きがいも経済成長も」と13番目「気候変動に具体的な対策を」に貢献できる、と主張した。

また、別のチームは、障がい者の自立と社会参加を促すことを目的にヤマトホールディングスの特例子会社が運営している「スワンベーカリー」で再配達の荷物を受け取れる仕組みを考案。閉じこもりがちな高齢者が外出するきっかけ作りにも貢献できる、と提案した。

ANAは機内食を題材に 「非常食に生かせる」と学生提案

ヤマト運輸とともに、一連の授業ではANAケータリングサービス品質保証室企画推進課スーパーバイザー、竹花真理子氏もゲスト講師として参加した。

同社が題材として選んだのは、大量に調理しているにもかかわらず、多くは手作りと手作業で進む、効率的とは言いにくい機内食作りの現状だ。顧客と接点を持たないスタッフに「お客様視点」を持ってもらうためにはどうしたらいいかなど、会社が抱える課題を学生たちと共有した。最終発表では、機内食のノウハウを非常食に生かしてはなどユニークな発想も飛び出し、参加した関係者らも「おもしろい」と反応していた。

また学生たちは、ゲームを通じてSDGsを学ぶ体験もした。

「イマココラボ」が提供するカードゲーム2030SDGsで、企業活動と社会・環境問題の両立がいかに難しいかを体感。ファシリテーションをした有限会社ウィルウィンド代表の冨田直子は「一企業では難しいことでも、他企業やNPO等と連携することで解決できる社会課題の幅が広がる」と学生たちに伝えていた。

一連の授業を通じ、既存の価値観や枠組みにとらわれない学生たちの発想に、企業の担当者らは逆に刺激を受けた様子だった。企業と学生が一緒になって社会的課題の解決に取り組むことは、両者にとって知らない世界をのぞける格好の機会なのかもしれない。

(ライター 曲沼美恵)

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