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次世代リーダーの転職学

希望退職に潜むリスク たっぷり割増退職金に油断禁物 ミドル世代専門の転職コンサルタント 黒田真行

2019/8/16

■早期希望退職時の退職金割増分の相場は

一般的には早期希望退職時の退職金割増分の金額は「年収の2倍」というのが相場のようです。経団連が2019年1月に発表した定期賃金調査結果によると、大卒45歳(総合職)の平均年収は528万円ですから、約1000万円が、通常の退職金に加算されるということになります。

Mさんの年齢は現在48歳ですから、年金受給開始の65歳まで17年間もあります。ただでさえ年金だけでは生活できないという不安なニュースが流れているのですから、一時的な割増退職金に安心しているわけにはいかないという人が大半だと思います。

また、企業は、合理的な理由がないまま、長く無業期間が続くことを、非常をネガティブにとらえるケースが多く、内定獲得の成功率にマイナスな影響を及ぼしかねません。転職活動が長期化すると、心理的に疲弊してしまったり、負け癖がついてしまうことにもなりかねません。悪循環に入ると、さらに長期化してしまう恐れもあります。

これから転職活動を始める人には、やはり、前職の就業中に転職先を決めることを理想の状態と置いて、退職後、3カ月以内、長くても半年以内には新天地を決める覚悟で臨んでほしいと思います。

場合によっては希望条件(特に最低限必要な年収や業界・職種など)を抜本的に見直す必要があるかもしれません。また、なかなか新天地が見つからない場合には、友人や親族の会社をワンポイントで手伝うという選択肢や、顧問や短期の契約社員、アルバイトなど、スポットの仕事をしながら、転職活動をするという方法もあります。

人生100年時代といわれる状況、かつ年金受給開始年齢も変化していくリスクもあるなか、あなたは何歳まで働き続けるか想定をしていますか。これまでの蓄えや、相続などで、圧倒的に余裕がある人は別として、十分な預貯金や相続資産がなく、雇用されて収入を得るケースでは、会社員として仕事をリタイアする時期や、それまでの生活費、そして老後にかかるコストを、概算でもいいのでイメージしておくことは、不可欠です。

「これまでもなんとかなってきたから、これからもなんとかなるだろう」という楽観は禁物です。年齢が上がると、市場からの需要ボリュームは確実に減少し、かつ自分自身の身体的な能力も衰えていきます。たとえ杞憂に終わったとしても、最も悲観的なシナリオを描き、それを事前に予防する打ち手を準備し、いつでも行使できるようにしておくことが重要だと思います。

お金や時間だけでは得られない充足感は、特に自分自身の経験や力量が必要とされ、期待され続ける場所にあるはずです。ぜひ金銭的な条件よりも、心理的な充足感を重視した意思決定をしていただければ幸いです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

黒田真行
ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」など。「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/

〈訂正〉8月16日5:40に公開した「希望退職に潜むリスク たっぷり割増退職金に油断禁物」の記事中、希望退職を実施した企業で「旺文社」としたのは誤りでした。本文は訂正済みです。

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