年金が不安? ならば今すぐ長期投資を(澤上篤人)さわかみ投信会長

日経マネー

写真はイメージ=123RF
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金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループがまとめた報告書が引き起こした大騒ぎには、国も国民も超が付くほど能天気だよなと笑ってしまった。今回はそのあたりを草刈と話し合ってみよう。

2000万円問題、金額は問題でない

澤上篤人(以下、澤上) 人生100年時代に備えるなどと大仰なことを持ち出す前に、そもそも国民の多くは、公的年金に頼れるのかという不安を感じている。国は100年安心とうたうが、果たしてどこまで信じてよいものか。

草刈貴弘(以下、草刈) 世代間扶助の制度ですから、少子、高齢化で人口構成が変わってしまった以上、制度の維持は厳しそうだと皆が分かっているし、だからこれまでの政権も手直しをやってきたわけです。なのに国は急に大丈夫だと宣言したり、国会では意味のない議論をしたりで、野党は責任を追及するばかり。そんなことをしている時間がもったいない。

澤上篤人氏(撮影:竹井俊晴)

澤上 問題は、多くの人が「年金が不安だ」「国が悪い」というところで思考停止に陥っていることだよ。そう言いながらも、いずれ国が何とかしてくれるだろうと心のどこかで甘えている。

公的年金についての国の説明はひと昔前の標準世帯がベースだし、2階部分やら3階部分やらと、やたら分かりにくい。けれど、1つはっきりしているのは、将来受け取れる月々の年金額は決して多くないということだ。

草刈 そうなんですよね。2000万円問題も厚生年金を受給できる人の話です。つまり、国民年金しか加入していない多くの人にとっては、もっと深刻な事態なんだという議論が全く抜け落ちている。

澤上 よほど特殊で手厚い年金を受け取れる人は別として、ほとんどの人は公的年金だけで老後生活は賄えない。となれば、不足分は自分で手当てしなければならないと、今の段階でも算段できるはず。

そこへ、現行の年金制度の致命的な弱点である世代間扶助の問題が乗っかってくる。かつては10人ほどの現役層が1人の高齢者を支えた。それが、いずれは1.8人が1人を支える状況になる。どう考えても現役層の負担が重過ぎる。つまり、国が示す年金支給額はどこまで当てにしてよいものか、疑問に思っておかしくはない。

草刈 制度を作った時は良かったわけですが、その時と今では状況が変わってしまっている。平均寿命も延びて、ほとんどの人が70歳で亡くなっていた時代とは違う。扶助する期間は延びるし、現役世代の人数は減ってしまうなんて考えてもいなかったわけですから。

澤上 さらには、先進国で最悪という日本の財政状況に鑑みると、公的年金を税金で補填する政策にも限界がある。となると、自分は大丈夫と思い込んでいる高齢者だって、いつ何時、今の年金支給額が減らされるか知れたことではないと、覚悟しておいた方がいい。

なのに、今回の騒動でも大半の日本人は現行の公的年金制度をベースとした老後生活の厳しさに鈍感過ぎる。まともに考えようともしない。