悩ましいDCの受け取り方 引き出し時に急落したら…

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その背景には税金があります。DCを年金受け取りにすると、その受取額は課税所得に組み込まれます。手厚い公的年金等控除がありますが、それでもDCと公的年金を合わせた金額が大きくなれば、税負担のみならず社会保険料等の負担も重くなるのです。

さらに退職時の退職所得控除という税制上の優遇も意思決定に大きく影響します。ここでは勤務年数による所得控除があり、所得控除後の受取額の半分が課税所得に組み入れられることになります。

実例を挙げてみると、このような形です。勤務年数が20年以下の場合には1年当たり40万円、それを超えた年数に対しては1年当たり70万円が控除額になります。38年勤務していれば、2060万円が控除額です。

DCを一括で引き出すとしましょう。この額が1000万円、退職金が2000万円とすると、控除額(2060万円)を引いた2分の1に当たる470万円が課税所得になります。税率20%、税額控除が42万7500円と仮定すると、51万2500円が税金です。3000万円に対して考えると、税率はわずか1.7%です。

私の場合には13年の勤務ですから520万円が退職所得控除額ですが、それでも全体としては退職一時金での受け取りを決意させるだけのメリットがあります。うーん、こう考えるとDCの年金受け取りは遠いな。

野尻哲史
フィデリティ退職・投資教育研究所所長、フィンウェル研究所所長。一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て2006年にフィデリティ投信に入社。07年からフィデリティ退職・投資教育研究所所長。19年にフィンウェル研究所を立ち上げ「複業」をスタート。アンケート調査を基にしたお金に関する著書・講演多数

[日経マネー2019年9月号の記事を再構成]

日経マネー 2019年 9 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)