悩ましいDCの受け取り方 引き出し時に急落したら…

日経マネー

書いていてちょっと暗くなってきましたが、では拠出した総額に対して調べてみるとどうなるか。ちょっと金額は公開できませんが、拠出総額に対して、5月24日の時価で評価するとちょうど44%上回っていました。13年間の平均にすると年率2.8%のプラスで、損をしているわけではないのです。

(イラスト:平田利之)

つまり、何を参照点にするかによって見え方は違うのです。やはり原則は拠出額が参照点であるべきでしょうが、それでも「ゴールデンウイーク前に全額現金化しておけば」とか、「18年10月に現金化しておけば」という気持ちは残ってしまいますよね。

そうした行動バイアスにはまらないための方策の一つは、感情を入れない運用をすることです。例えば、目標年を想定して自動的に資産構成を変えてくれるTDF(ターゲット・デート・ファンド)と呼ばれる種類の投信を使うといった方法です。TDFは運用の開始時点では株式などのリスク性資産の比率を高くし、年齢が進むにつれてその比率を下げ、例えば60歳時点ではこれが0%になるように最初から設計されている商品です。

18年のDC制度の改正でも、元本確保型金融商品に資産を寝かせてしまう現状を変えるべく、TDFのデフォルトファンド(指定運用方法)化の議論がなされました。残念ながら制度改正にはつながらなかったのですが、その有効性について議論の俎上(そじょう)に上ったことは良いことだったのではないでしょうか。

年金受け取りはしたいけど

もう一つの対策が、一括で引き出しをするのではなく、徐々に時間をかけて引き出すことです。引き出しそのものを時間分散すれば、一時点の株価の急落に左右されないことになります。DCでは、年金受け取りにすることでこの点を解決できます。しかし、実際にやってみるとなるとこれも難しいものなのです。