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ニュートンやザウルスから26年 挑戦続く電子メモ

納富廉邦のステーショナリー進化形

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NIKKEI STYLE

キーボードではなくペンシルの形をした入力機器を使って、手書き感覚で文字を書きデジタルに保存する「電子メモ」。こういった製品は20世紀末にはすでに製品化され、今も新しい製品が登場している。文具を見続けてきた納富廉邦氏が、電子メモの歴史と最前線を解説する。

◇  ◇  ◇

手書きメモをデジタル化するツールが一般的に使われ始めたのは、たぶんPDAブームが始まる頃、1993年発売のシャープ「ザウルス」のPIシリーズとAppleの「NEWTON(ニュートン)」だろう。そして、1996年にPalm社の「Palm Pilot」が発売され、電子手帳、PDAと言えば手書き入力が当たり前になる。

ただ、これらは手書きのメモをデジタルで記録するツールというより、入力をキーボードではなく手書きで行うという小さなコンピューターだった。確かにさっとメモを取るのに便利だったものの、まだインターネットが普及し始めた頃の製品であり、パソコンなどとのデータの互換性やデータの受け渡しが面倒で、そのハードウエアの中で完結する使い方に留まってしまう。そんな欠点を持っていた。

手書きメモをデジタルで記録する文具に関して注目すべき製品が登場し始めたのは21世紀に入ってからだ。

21世紀初めに登場した2つの方式

2004年ごろに、今後の電子メモはこのどちらかになるのでは、と思われる2つの方式の製品が登場する。

一つは、ぺんてるの「airpen」だ。ノートや紙の上部にセンサーを取り付けて、専用ペンで書けば、書いた軌跡をデータで保存。パソコンなどに画像データとして書き出せるというもの。この方式は何より好きなノートや紙が使えるというのがポイントだった。

もう一つは「アノト式」と呼ばれるタイプ。カメラを内蔵したペンを使い、細かいドットが印刷されたノートの上に文字や絵を書く。ペンが座標データを取得し、それを画像データとしてパソコンなどで利用できるようにする。専用ペンと専用ノートが必要になるが、ペンのスイッチを入れるだけで、特にセッティングせずに書けること、機能を増やせることなどの優位点があった。当時は、フランスのクレールフォンテーヌが専用ノートを提供していた。

 「airpen」は、後にBluetoothに対応し、スマホとデータ連携できる「airpenPocket」を発売。センサーも小さくなり、専用のクリップボードと組み合わせることで、かなり使えるデバイスになっていたのだけど、今年、サービスが終了となった。

アノト式は、Livescribe社から発売された「Livescribe wifiスマートペン」が、職業ライターの間で小さなヒットとなった。ペンに録音しながら、書いたメモと録音が同期する仕組みは、記事を書く際に文字起こしをする必要がなく、仕事が大いにはかどったのだ。ただ専用のノートが入手しにくく、太く大きなペンも書きやすいとはいえなかったため、大きなヒットにはつながらなかった。

しかし、この形式は、現在も続いている。録音をスマホに任せてペンを小型化するなど、より実用性を高めて、モレスキンの「スマートライティングセット」や、ネオスマートペン社の「N」シリーズなどが販売中だ。

スマホの台頭と「ショットノート」登場

airpenやアノト式のように専用のペンを使い、紙のノートに書いたメモをデジタル化する電子メモには、ワコムの「Bamboo Slate」もある。専用のパッドに好きなノートを挟めば、後は専用のペンで書くだけで、自動的にデジタル化し、スマホやパソコンにデータを送ることができる。

筆者はかなり長い間、取材などに実際に使っているが、A4サイズのレポートパッドを入れて、話を図解しながら聞くときなど、かなり重宝する。スマホのアプリを立ち上げれば、自動的にデータを吸い上げてくれるし、それを様々な形式で書き出せるので使い勝手もいい。ただ、それは一つのテーマを1枚の紙で完結させるという使い方においてであって、使う人を選ぶといえるかもしれない。

 2007年にはiPhoneが登場(日本発売は2008年)。PDAや電子手帳は、その役目を終えるように消えていく。

このスマホを利用する形で生まれたのが、メモをスマホで撮影してデジタル化する流れだ。メモを撮影すると、キレイにメモの枠で切り取って、角度なども修正して写真として保存してくれる。キングジムの「ショットノート」の大ヒットによって一気に盛り上がった。ちょうど手帳やメモ帳のブームと重なって、機能性文房具として注目されたこともあり、コクヨの「CamiApp」シリーズなど後発も含め、マーケットを形成した。

iPad mini5は可能性を秘めるが

2015年に「iPad Pro」が登場し、Apple Pencilによる画面への直接のメモが快適になったことで、デジタルメモは一気に実用化した。スマホやタブレットは、指で画面を操作するため、市販のタッチペンで細い線を描くことが難しかった。Appleは専用製品を出すことで突破。「Notability」のような、録音とメモを同期できるアプリも登場した。

こうなると、iPad上でメモから原稿書きまで完結するわけで、わざわざ専用の電子メモを使う必然性は低くなっていく。ただiPadは価格も高く、それなりに重く、メモを取るという目的だけで使うにはオーバースペックだったりする。2019年3月に登場したiPad mini5はペンシルも使える上に、コンパクトで価格もこなれている。これがきっかけとなり、iPadで手書きのメモを取るという人が増えるかもしれないが、それは今後の話だ。

電子メモの最先端は電子ペーパー

現在のデジタルメモの最先端と言えるのは、ソニーのデジタルペーパー「DPT-CP1」(A5サイズ)と「DPT-RP1」(A4サイズ)、そして、富士通クライアントコンピューティングの「クアデルノ」シリーズだろう(こちらもA5サイズとA4サイズがある)。

どちらも、画面に電子ペーパーを採用した、薄くて軽い製品。違いは、ネットワークを重視して会社などで使ってもらう機能を充実させたソニーと、電子文房具としての機能を追加して新しい文具としての方向を探る富士通といったところか。しかし、ネットワーク機能が弱く、Windowsとしかデータのやり取りができなかったクアデルノだが、2019年8月にはAndroidやiOSに対応。スマホとの直接のやり取りが可能になった。これで、スマホで受信したメールに添付されていたPDFファイルを、直接クアデルノに転送、クアデルノで修正後、再びスマホに送ってメール送信といったこともできるようになったわけだ(ソニーの製品では既に対応済みの機能)。これで、電子文具としてかなり使いやすくなった。

このタイプの特長は「紙に近いスムーズな書き味」「バッテリーの持ちの良さ」「クッキリしたコントラストの表示画面」「紙のノートに匹敵する軽さ」などだろう。どれも液晶ではなく、電子ペーパーを使うことで得られた長所だ。またPDFファイルを読む込むことができるので、そこに直接書き込むこともできる。タブレットとメモの必要な部分だけを抜き取ったような製品なのだ。

実際、書き比べると電子ペーパーの画面は液晶ディスプレーに専用ペンシルで書くよりも圧倒的に書きやすい。もちろん、それは現時点であり、今後は分からない。現状、紙と鉛筆の書き心地を、電子メモやタブレットはお手本にしているようだが、デジタル環境において、それが最高であるという保証もない。ただ一つの到達点であることは間違いない。

しかし、電子ペーパーを採用した製品は、まだまだ高価で、気軽に買えるという価格ではない。クアデルノは7月25日に価格を改定し、A5モデルが税込み7万5500円から4万9800円で買えるようになったが、iPad mini5の64GBもほぼ同じ価格帯だ(iPadの場合は別にApple Pencilを購入する必要があるが)。

そうなるとまだ手書きのデジタル化という領域では、決定版となる製品はないとも言える。ニュートンから26年。それでも諦めずに新製品が出てくるのだから、電子メモというジャンルは面白い。

納富廉邦
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、かばんや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人カバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。

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