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経営学ぶならダメな会社 カリスマ経営者の意外な提案

星野リゾート 星野佳路代表

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NIKKEI STYLE

「だめな会社はおすすめです」――。次々と経営難に陥った老舗旅館やホテルの運営に着手し、日本の観光リゾートをけん引する星野リゾートの星野佳路代表。先代から引き継いだ直後は同族経営のしがらみに苦労しながらも、大胆な改革を進めてきたリゾート業界の革命児は働き方やキャリア形成の考え方も独特だ。U22記者と3人の学生がインタビューした。

 1960年、軽井沢の老舗旅館「星野温泉旅館」(95年に星野リゾートへ社名変更)の4代目として生まれる。慶応大学経済学部卒業後、実家を継ぐことを見据え、米コーネル大学ホテル経営大学院にて経営学修士号(MBA)を取得。89年に帰国して副社長として入社するが、長年続いた同族経営のしがらみに直面。半年で退職し、米シティバンクに転じた。次第に星野温泉の経営にも陰りが見え始め、91年には株主や社員に呼び戻され、父に代わって代表取締役に就任した。
 就任後は「リゾート運営の達人」を標榜。前近代的な経営を改め、満足度調査などマーケティングに基づく経営を本格導入した。リゾナーレ八ケ岳(山梨県)を皮切りに全国の経営不振のリゾート施設やホテルの再建に取り組み、「リゾート再生請負人」として名をはせる。現在は「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO」など複数のブランドを展開し、海外にも進出している。

(学生の聞き手はロンドン大学1年の石崎朱理さん、慶応大学3年の濱村孝英さん、東京大学2年の平河大斉さん)

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うまくいっていない組織は最高のケーススタディー

――(濱村)星野さんが大学時代に大切にしていた考えは何でしょうか。

慶応大学アイスホッケー部にいましたから、ずっと頭の中にあったのは「打倒・早稲田」、それだけです(笑)。当時主将だった私はいかにチームを強くするかということを考えていました。これが実は今の経営にもすごく生きていると考えています。

体育会は上下関係が強いですが、アイスホッケーは氷の上で戦います。試合が始まると1年生も4年生も関係ありません。一人ひとりの局面での判断が大事で、そこにフルで権限を任せないといけない。実はこれって、接客も一緒なのです。

経営はすぐに「予算がないからできない」と言って予算で行動を縛りがちですが、顧客にどういったサービスを提供した方がいいのかというのは、現場の本人が1番理解していますから、スタッフに自由を与え、自分で判断して、自分で行動して、自分で責任をとるということを、皆ができるようになると経営って変わると思います。

――(石崎)私は大学院に行くかどうか迷っています。星野さんは米国のコーネル大学ホテル経営大学院を卒業されていますが、大学院進学はお勧めですか。

大学院で勉強するときに私が大事だなと思ったのは、働いた経験です。大学を卒業してから少し働いた後に大学院に入学しましたが、だめな会社を見ることは大事なんですよ。なぜ社員はこんなにやる気がないのだろうか、社長は優秀なのになぜ管理職はあんなにだめな判断をするのだろうか、構造的にどこが問題になっているのだろうかという感覚を理解するのは働いた経験があるからこそなのです。

経営の本を読んだりしても、社員にやる気を出してもらうにはやはりこれは重要だなとか、逆にこれを言ったって社員はあまり反応しないだろうなとか、そのようなことが肌感覚でわかりますので、それはとてもよかったと思っています。分野にもよりますが、大学院へ行く前に仕事してみるのも大事だと思いますよ。それもだめな会社がおすすめです。

もし自分が入ったところがダメな会社だなあと思ったら、それはラッキーですよ。そこから学べるものは大きい。1番いいケーススタディーです。できない理由が何なのかを考え、そして顧客に対して本来何をやるべきことは何かを考える、というのは大きな学びです。うまくいっていない環境の現場にいるほどわかります。それは30~40代でそういう環境に行っても、見ることができない景色。現場の最前線で20代の前半にしかない特権だと私は思いますね。

リスクやリターンに振り回されてはいけない

――(平河)自分は17年間米国に住んでいたので余計にそう感じるのかもしれませんが、日本の旅館は風呂の時間が決まっていたりして面倒だなと思うことが多いです。「星のや東京」でも靴を脱がせるという特徴があると聞いたのですが、それって必ずしも共感を得られないんじゃないかと思っていて、そこはどうお考えですか。

「星のや東京」は日本旅館とは何かを伝えるために運営しているので、靴を脱ぐということを日本旅館の象徴として認識しているのですね。だから顧客はあまりそこに不満がありません。だけど、それだけじゃだめなのです。靴を脱ぐことのメリットをちゃんと表現しないといけない。メリットは何かと言うと、日本的な素材を足の裏が感じることなのです。畳の素材感とか。我々は板の間も作っているんですけど、意図的に足の裏で日本的な素材を感じてもらえる工夫をホテルの至る所でしているんですね。

もう一つは、なぜか200人も泊まっているのに、玄関に自分たちの靴が用意されている。それは顧客にとって驚きなのです。そこもテクノロジーを使った私たちの演出です。靴を脱がせるのが日本文化なのだという押し付けはいいと思っていますが、それによる顧客にとってのメリットをちゃんと演出できれば何も問題ないと思います。

そもそも、自分たちが提供したい滞在サービスのイメージを作り、それに満足する人にいらしていただけるとうれしいという割り切りがあるのです。組織が変われないのは捨てられる顧客を捨てられない、とるべきリスクをとれないことが原因です。

――(石崎)代々続く旅館を一度壊して新しく星野リゾートを作られたそうですが、普通は受け継いだものを壊すのは難しいことだと思います。それでもチャレンジできたのはなぜですか。

私にはビジョンがあったんです。海外のホテルが日本に攻めてきて地方にも進出しようとしているときに、日本の運営会社が守りに入ってはいけない、むしろ世界へ飛び出して活躍できるようなホテル会社になろうというのがビジョンです。

ビジネスで新しい案件が出てくると、皆リスクで判断するのです。リスクとリターンってよく言いますね。このリスクは得られるリターンに見合わないとか言ってやめちゃったりするのです。でも私はまったく違う見方をしていて、行きたい場所が向こうに明確にあってそこに真っすぐ行きたい。脇道にローリスク・ハイリターンな仕事があっても、私はそこに寄り道したくない。

行きたい場所へ行くには乗り越えなくちゃいけない山がいくつかあるのです。それは、はっきり言ってハイリスク・ローリターンなのです。でも私はそのリスクをとる。行きたいところへ行くというのが我々のビジネスの最大の行動基準なので、リスクとかリターン、コストパフォーマンスに振り回されてはいけないというのが我々の考え方です。

世界はもともとカオス 20代は自分が伸ばすスキルを探そう

――(濱村)私は就職活動中なのですが、最近は選考時期に関するルールが変わるなど、カオスな状況の中にいる感じがして不安が大きいです。

私が卒業した時期って、同世代が色々な金融機関に就職しましたが、結局皆同じ銀行になってしまったようです。あのときの選択はなんだったのだろうかとも思います。日本経済の世界での相対的な位置は落ちているし、会社にも国にも頼れない、そんな中では自分のスキルを最短で高めないといけないでしょうね。

それに世界ってもともとカオスなのです。日本だけ秩序があるという考えが違う。カオスな世界の中に日本経済があるわけですから、つまり最初からカオスなわけで、秩序があるように見えて、実は幻想だったということです。

――(平河)カオスな世界の中で、20代はどのように設計するのがいいと思いますか。

自分の伸ばすべきスキルを特定した方がいいと思います。できれば1つに。それを特定しようと思いながら仕事をするのがいい。もう一つは競争の少ない分野を選んだ方が良い。最近は人工知能(AI)ってよく言いますが、10億人以上の人口を抱えるインドが、国をあげてコンピュータサイエンスに注力しているのです。そんなところに本当に入っていくのですか、と疑問に思います。

――(U22)若い頃を振り返って、こうしておけばよかったというのはありますか。

私は31歳で父の会社を継ぎ、41歳で初めて、軽井沢という自分の場所を越えて展開し始めたのです。この10年が長すぎたと反省しています。もっと早く、実家の旅館にけりをつけておけばよかった。もっと早く展開できたら今はさらに高いところへ行けたじゃないですか。当時の自分には、もっと自信過剰でいいと言いたいですね。

目指すものを持つのは企業でも自分のキャリアでも大事です。そうすると迷わず、越えなければいけない山は越えるし、行かなくてもいいところへ行かなくなりますから。

(文・構成 安田亜紀代)

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