まるで漫画「寄生獣」 ハリガネムシの恐るべき一生神戸大学 群集生態学 佐藤拓哉(2)

「これはオスなんですが、先端が二股になっているの、わかりますか。二股になってクルッと巻いてる内側に排せつ孔みたいな穴が開いていて、そこから精包を出します。メスの方はぱっと見て分かる生殖器ではなくて、精包を受け取る時に、マンガの『寄生獣』みたいに先端がバコッって開くんです。そこから、オスの精包をボコボコボコッって吸い込んで受精させるっていう、もう恐ろしいことがおきます」

佐藤さんの語り口に、いやがおうにも想像力が刺激され、ぼくはたいそう恐ろしくなった。実際、寄生虫であるハリガネムシの異形の身体の先端が、『寄生獣』みたいに開くというのはどういうことなのか。出来すぎだ。

そこまで「異形」であるハリガネムシは、生物学的にはどんな生き物なのか。

「近い生き物はというと、線虫の仲間なんですよ。類線形虫類って言われまして、線虫類から進化して分かれたような分類群の生き物です。淡水にも海水にもいるんですけど、海にいるやつは生活史がほとんどわかっていません。カニのおなかのハカマの中から出てきたりするんですけどね。一方で、陸のやつはわりと目につきやすいので、世界中に今326種記載されています。実際には、もっといて、2000種以上はいるんじゃないかという話もあります。日本のもので記載されているのは14種です」

ハリガネムシというのはぱっと見たところ、無個性だ。単に細長い。体表のクチクラの構造や雄の排泄腔の形状などで分類されてきたのだそうだが、とうていすべての種には手が回っていないというのが現状。

「僕たちも、遺伝子なんか使って、どういう種が渓流にいるか見始めたんですけど、そうするとここのような小さな川の中からだけでも、7種、8種とかいうハリガネムシの種が出てきたりします。遺伝子のマーカーで見ても結構離れていて、これだけ違ったら遺伝的に交われないんじゃないかっていうようなやつです。なんで何種類もが小さな川で共存できるのかとか、わからないことがますます増えてしまって」

それでも、生活史については、だいたい同じであるらしい。佐藤さんに、ざっくりとした「ハリガネムシの一生」を語っていただいた。

研究のために作った水たまりにいた。

「川に成体が出てきたところから始めます。オスとメスがいるので、どうやってか相手を探し当てなければならないんですが、その方法はまだ分かりません。とにかく、クネクネときれいな動きをしているのを見ます。あれは、泳いでいるんやと思います。それでオスとメスが出会うと、クルクル巻き付きあって、オスは精子の詰まった嚢(=のう、精胞)をあげて、それがメスに入ると。そして、メスがバババッと、糸くずみたいな受精卵の塊(卵塊)を大量に生むんです」

この瞬間が、前に言及した『寄生獣』的な、メスのさきっぽがパカッと割れる時だ。

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