仕事をセーブしても自律神経は整わない

――書籍では他に、自律神経が乱れた時や、更年期の時にどんな運動をすればいいのかが紹介されています。

自律神経を整えるためにも運動を勧める中野ジェームズ修一さん

中野 体調が悪くて病院に行って、医師から「自律神経が乱れていますね」と言われる女性はとても多いそうです。自律神経とは、循環器や消化器などの活動を調整するために24時間働き続けているもので、体を活動的にする「交感神経」と、体をリラックスさせる「副交感神経」から成り立っています。

この交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまうと、だるい、朝起きるのがつらい、立ちくらみがする、といった症状が出ます。「自律神経が乱れているのは、仕事が忙しいからだ。仕事をセーブしよう」と思う方は多いのですが、それでは根本的な解決にはならないんですね。

自律神経を整えるためにできることは、大きく分けて「肥満の解消」「禁煙」「運動不足の解消」の3つです。

肥満の状態が続くと、交感神経が慢性的に緊張してしまいます。たばこも、交感神経の働きを刺激します。

一方、運動はストレス解消になり、ぐっすり眠れるようになるので、自律神経を整えるのに役立ちます。もちろん肥満の解消にもつながるので、自律神経が乱れた時は、結局のところ運動の出番なのです。

――安静にするのがいいのかと思っていましたが、体を動かした方がいいのですね。更年期の運動はどうでしょうか。

中野 閉経の前後5年ずつ、合わせて10年ぐらいを更年期と呼びますが、この時にどのような症状が現れるのかは、人によって千差万別です。閉経前には、体がほてって汗をかく、だるい、眠くなる、イライラする、気分が落ち込むなどが多いそうです。産婦人科を受診し、場合によってはホルモン補充療法を受けるといいでしょう。

もともと運動不足という人は、更年期の症状が現れたら、ぜひ定期的に運動をしてください。自律神経が整えられ、症状が少し軽くなるでしょう。

むしろ心配なのは、昔から積極的に運動してきた女性です。例えばランニングが趣味で、大会にも出場してきたという方は、更年期になると当然ながらタイムが落ちてきます。これに焦って、さらに練習を頑張ろうとしても体がついていかず、タイムは悪くなる一方です。

従って更年期になったら、記録を追求するよりも、楽しみながら体を動かす方に切り替えることが大切なのです。

米国では「妊婦でも運動を」

――女性にはさまざまなライフステージがあり、それぞれに合った運動の仕方があるということですね。

中野 そうなんです。かつては妊娠したらなるべく安静にして、運動なんて絶対にNGと考えられていましたが、今では妊婦も運動したほうがいいと言われるようになりました。米国産婦人科学会は、1日あたり最低20~30分の「ややきつい」運動を、週の大半、できれば毎日行うことを推奨しています。

運動による健康効果については、研究により次々と新しいことが明らかになっています。そうした成果を本などの形で伝えて、皆さんに楽しく運動してもらえたらうれしいですね。

(聞き手:日経BP ライフメディア局 竹内靖朗 写真:鈴木愛子)

中野ジェームズ修一
 スポーツモチベーションCLUB100技術責任者/PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。米国スポーツ医学会認定運動生理学士。フィジカルを強化することで競技力向上やけが予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。

女性が医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本

著者 : 中野ジェームズ修一
出版 : 日経BP
価格 : 1,404円 (税込み)

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