検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

13人に1人はLGBT 職場で知っておきたい8つのこと

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

日経ウーマン

「LGBTの人が身近にいない」ってホント? 日本人の13人に1人がLGBTという調査もあることから分かるように、あなたの周りに必ずいます。ドラマ『おっさんずラブ』が社会現象となったり、政治家らの「LGBTは生産性がない」「この人たち(LGBT)ばっかりになったら国はつぶれる」発言に批判が集中するなど、ポジティブなニュースから差別的言動まで、今やLGBT(Q)に関する話題に事欠かない時代に。そんななか、私たちが進む「多様性を尊重する社会」にどう向かうべきか─一緒に考えていきませんか?

私たちを取り巻く環境、どうなっているの?

「LGBT(LGBTQ)という言葉は知っているけれど、詳しくは分からない」という人も多いのでは? まずは、私たちを取り巻くLGBTQの現状を知ることから始めましょう。

今、日本でLGBTQ層に該当する人は13人に1人といわれ、さらに最新の調査では「人口の8.9%、11人に1人」という結果もある。「これは左利きの人とほぼ同じ割合」と、電通ダイバーシティ・ラボ代表の伊藤義博さんは解説する。ただし、成蹊大学非常勤講師の石田仁さんは、この数値は「あくまでインターネット調査会社の回答者のなかでの割合とみなすべき。既に行われている性行動や性意識の調査では1~5%程度」と指摘する。

とはいえ、「顕在化していないだけで、周りに一定数の当事者がいる」という事実に変わりはない。「性は多様で揺らぎがあるため、数値だけでは測り切れない」と、虹色ダイバーシティ理事長・村木真紀さんは言う。社会学者の水無田気流さんも「男性と女性という2項対立ではなく、グラデーションと考えるべき。より細かく自分にフィットするジェンダーを手に入れられる社会になれば、皆が生きやすくなると思う」と提言する。

識者たちがそろって指摘するのは、法整備の重要性だ。「差別禁止法や同性婚などの法整備が進まない限り、LGBTが抱える差別や偏見といった本質的な問題は解決しません」(石田さん)。大切なのは、互いの違いを認めて、誰もがハッピーに暮らせる社会。「LGBTが生きやすい社会は、すべての人にとって生きやすい社会につながるはずです」(村木さん)

LGBTQ


「LGBT」はレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を並べた言葉。「LGBTの人々」などのように、性的マイノリティーの総称として使われる。近年、多様なアイデンティティーの広がりにつれて、「LGBTQ」などと表記することも多い。

【L=レズビアン】性自認が女性で、性的指向が女性に向く人。
【G=ゲイ】性自認が男性で、性的指向が男性に向く人。
【B=バイセクシュアル】異性を好きになることもあれば、同性を好きになることもある。性的指向が男女どちらにも向く人。男女の区別そのものに疑問を呈する意味で、「パンセクシュアル(全性愛)」とも。
【T=トランスジェンダー】身体の性別(多くの場合は解剖学的な性別)に沿って出生届などで指定された社会上の性別と、自認する性別とが一致しない人。または、より積極的に既成のジェンダーのあり方に疑問を抱き、それを超越(トランス)しようとする人。対義語は「シスジェンダー」。
【Q=クエスチョニング】性別、性的指向、性自認、ジェンダー表現、どれか1つ以上の部分で、自分の性を決められない、決めたくないという状態にある人のこと。
【1】LGBTQの人たちは13人に1人、11人に1人とも

LGBT 総合研究所(博報堂DYグループ)や日本労働組合総連合会の2016年調査によると日本のLGBT層(LGBTなどの性的マイノリティー層)の割合は8.0%で「13人に1人」が該当する。電通ダイバーシティ・ラボが実施した最新の「LGBT調査2018(*1)」では、日本のLGBT層の割合は8.9%で「11人に1人」という数字だ。これは、たとえ存在が見えなくても「身近に確実にいる」ということを示している。数値が高い割に顕在化しないのは、「カミングアウトしづらい職場環境のほか、偏見を持たれそう、理解してもらえないと思う、といった理由が多いようです」(伊藤義博さん)

(*1):電通ダイバーシティ・ラボが2018年10月26~29日にインターネットで調査を実施。20~59歳の6万人にスクリーニング調査を行い、全国6229人(LGBT層該当者589人/ストレート層該当者5640人)から回答を得た。

【2】カラダの性×心の性×好きになる性、「性」は多様で「グラデーション」

LGBTを理解する上で大切なのが、性を「男か女か」の2者択一で考えないこと。身体的な「カラダの性」、自分自身が性別をどう思っているかという「心の性」=性自認(GI)、「好きになる性」=性的指向(SO)の3つの組み合わせを軸に、衣服やしぐさ、言葉遣いといった「性表現」など、多様な組み合わせで構成される。そのため、「グラデーションのようなもの」と表現されることも。「成長段階で定まる人、揺らぎ続ける人とさまざま」(石田さん)

【3】11の自治体(*2)で同性カップルをパートナーに認める制度が発足

現在、日本の法律で同性婚は認められていないものの、2015年から、自治体レベルでは同性カップルをパートナーとして公的に認める「パートナーシップ登録制度」が発足。この制度を導入しているのは、東京都渋谷区・世田谷区・中野区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市、北海道札幌市、福岡県福岡市、大阪府大阪市、群馬県大泉町、千葉県千葉市の11の自治体。その他、導入を検討中の自治体も多い。

(*2):2019年1月現在。

【4】同性愛者への人権が確立される一方、弾圧する国もあり、2極化が顕著に

世界で同性婚ができるのは25カ国。なかでも北欧やEUは世界一先進的な地域だ。アメリカは、2015年に全州で同性婚ができるように。一方、中東やアフリカでは、同性愛者を弾圧する国もあり、サウジアラビア、イラン、スーダンなど死刑になる国もあるなど、2極化が進んでいる。

【5】2020年に向けて企業のLGBT施策に追い風傾向、社内制度の整備はこれから

ダイバーシティーの取り組みの一環として、大手企業を中心にLGBTに関する施策を進める動きが加速。2016年には任意団体「work with Pride」が策定した、職場におけるLGBTに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標」もスタートした。20年にオリンピック・パラリンピックが東京で行われることを受け、東京都でもSOGI(性的指向や性自認)に関する差別を禁止する条例を制定。施策整備への追い風が吹いている。「とはいえ、ほとんどの企業では社内整備はこれから。制度があっても、使うこと自体がカミングアウトになるなど、解消すべき問題も」(伊藤さん)

【6】若い人ほど寛容度が高い傾向、良質なエンタメ作品も続々登場

「LGBT調査2018」によると、LGBTに対する認知度、寛容度は若い世代、特に女性に最も高い傾向が。「背景にあるのは、メディアの影響。アンケートでも、理解が深まったきっかけとして「LGBTのドキュメンタリーやニュースを見た」「映画やドラマ、アニメなどのコンテンツの影響」という回答が多く見られた」(電通ダイバーシティ・ラボのリサーチャー、吉本妙子さん)。昨年、アニメ『HUGっと!プリキュア』で「男の子だってお姫様になれる」という発言も話題に。

LGBTQ用語解説



【性的マイノリティー】性的指向や性自認に関するマイノリティーのこと。
【性的指向】好きになる相手の性別を指す概念。
【性自認】自分の性別をどう思うか、という概念。
【SOGI】性的指向(Sexual Orientaion)と性自認(Gender Identity)の頭文字。「人」を指すLGBTに対して、概念を指す。
【セクシュアリティー】性的指向や性自認を含む、性のあり方全体を指す言葉。
【7】LGBTQのハラスメント最新知識を身に付けよう

2014年7月、男女雇用機会均等法指針改正により、異性間以外に同性間での言動もセクハラに該当するようになったが、「近年、問題視されているのは、性的マイノリティーに対するSOGI=ソジハラです」と伊藤義博さん。

「SOGIとは、性的指向(Sexual Orientation)と、性自認(Gender Identity)の頭文字から取った言葉で、好きになる性や心の性に関することをからかいの対象にすべきではない、という傾向が強まっています。何がハラスメントに当たるのかを学ぶことは、今や身に付けるべき『ビジネスマナー』です」

また、社会学者の水無田気流さんは、「日本は性的な問題に関して『無自覚』」と指摘する。

「欧米のようにカップル強制文化を持たない日本は、一見、性の問題に寛容に見えますが、単に『無自覚』で『無関心』ともいえる。そのため、気づかないうちに性的マイノリティーの人たちのタブーに触れ、相手を傷つけてしまう可能性もあります。性の問題は相手の尊厳に関わるので、低俗な問題と考えないで」

どんな表現がハラスメントに当たるのかを知っておこう。「カミングアウトしている人がいないからといって、その場にLGBTQの人々がいないとは限りません。『見えなくても必ずいる』という意識を持って発言を。LGBTQ差別のない職場になれば、女性はもちろん、そのほかのマイノリティーの人にとっても働きやすい職場になるはずです」(村木さん)

初対面で気を付けたい言葉


周囲にいる人がLGBTQの可能性があることを、念頭に置いて接する意識を持つこともポイント。「特定の性別を表現する言葉を使ってはいけないというわけではない。初対面では気を付けたほうがいい、という意味です。接客時など、相手が性別や関係性をご自分で表明されたら、その言葉を使えばいいと思いますよ」(村木さん)。

・彼/彼女→恋人、パートナー、付き合っている人
・夫/妻→配偶者、連れ合い、パートナー
・旦那様/奥様→お連れ合い
・男らしい/女らしい→○○さんらしい
・男性/女性→○○さん、青シャツの方など
【8】職場内に理解者(アライ)がいるだけで、当事者は励みになる

LGBTQの人たちが働きやすい職場環境とは、どういうものだろう。「職場で仲間がいると、勤続意欲が高まるというデータがある。これは、職場内に1人でも理解者=アライがいることで、当事者の心理的な安心感が高まり、働く意欲に影響することを意味します」と村木さん。「アライ」とは、英語の同盟者=Allyが転じた言葉で、LGBTQに対する理解者や支援者のことを指す。では、何から始めればいい?

「『知る→表明する→行動する』の3ステップで、『アライ』の意識を深めて。まずLGBTQについて学び、自分がアライであることを情報発信して周りに示す。その上で、社内の啓発活動や研修に参加するなど行動を。できることから始めてみて」

また、LGBTQの人々と触れ合う機会を増やすことで、理解を深めるのも良い方法だという。「ぜひ関連イベントに足を運んでほしい。一緒にスポーツをするなど、一体感の持てるものがオススメです」

気を付けたいのが、「LGBTQをひとくくりに考えたり、決めつける発言をしたりしないこと」と石田さん。「違いがあり、抱える悩みや課題も異なります。カミングアウトを強制するなど、無理に心をこじ開けるような態度は控え、気持ちに寄り添う姿勢を持つことを心がけて」

この人たちに聞きました

伊藤義博さん(左)とリサーチャーの吉本妙子さん
伊藤さんは電通ダイバーシティ・ラボ代表。吉本さんはリサーチャーを務める。
村木真紀さん
虹色ダイバーシティ 理事長、社会保険労務士。1974年生まれ。京都大学総合人間学部卒業。会社員を経て現職。LGBTに関する調査研究を行う。共著に『職場のLGBT読本』(実務教育出版)、『トランスジェンダーと職場環境ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター)。
水無田気流さん
国学院大学経済学部教授。1970年生まれ。詩人、社会学者。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。著書は『「居場所」のない男、「時間」がない女』(日本経済新聞出版社)、詩集『音速平和』『Z境』(共に思潮社)ほか多数。
石田 仁さん
日工組社会安全研究財団主任研究員。1975年生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。現在、成蹊大学、和光大学非常勤講師も務める。著書に『はじめて学ぶLGBT』(ナツメ社)など。

(取材・文 樋口晶子/西尾英子、監修 村木真紀=虹色ダイバーシティ理事長)

[日経ウーマン 2019年4月号の記事を再構成]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_