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働き盛りを襲う若年性認知症 周囲の支援が最高の治療

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

65歳未満で発症する認知症を「若年性認知症」という。発症する人の多くは職場や家庭で重責を担う現役世代であるために、就労や生活に大きな影響が出る。ただ、認知症になってもすべてのことができなくなるわけではない。発症してからも人生は続く。周囲の力を借りながら、長期的な人生設計を見直すことが大切だ。

◇  ◇  ◇

建築会社で働く男性社員のAさん(50歳)はある時から、仕事上のミスが増えてきた。顧客との面談の約束をすっかり忘れてしまうことや、必要な書類を期限までに提出できないことなどが何度か続いた。さらに、社内の会議に出ると、以前まで知っていた専門用語が理解できなくなっていた。当たり前のように専門用語を駆使して議論を重ねる同僚や部下たちの姿を見ながら議論についていけない自身の姿にぼうぜんとしたAさん、1カ月ほど悩んだ末に思い切ってもの忘れ外来を受診した。

検査の結果、出された診断は「認知症」。Aさんには家のローンがあり、子どもも大学受験を控えている。田舎の親の介護も必要になりつつある。夫が認知症と診断されたことで奥さんもショックを隠せない。どうすればいいのか、とAさんは途方に暮れた。

平均発症年齢は51歳 現役世代ならではの問題が多い

認知症は高齢者に多い病気であり、認知症のリスク因子にも「加齢」が挙がるほどだ。しかし、65歳未満で発症する若年性認知症は一定数存在する。約10年前の調査だが、全国の若年性認知症の人の数は約3万7800人(2009年厚生労働省発表、最新のデータは2020年に公表予定)。認知症高齢者の約462万人(2013年3月:厚生労働科学研究報告書「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」)に比べれば、非常に少ない。

とはいえ、若年性認知症の平均発症年齢は51.3歳で、Aさんのように一家の大黒柱であり、老親の介護にも対応しなければならず、職場においても管理職に就いている人も多い。いろいろな意味で責任世代の発症だけに、周囲への影響は大きい。

若年性認知症の原因となる病気の顔ぶれは、血管性認知症、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体病などで、高齢者の認知症と同じ。一部には家族性アルツハイマー病など遺伝性の認知症が入っている可能性があるが、その多くは原因がよく分かっていないために、予防することも難しいのが現状だ。

若年性認知症が発症する世代は、心身の変わり目を経験する世代でもある。「おかしい」と感じても、ストレスやうつ病、女性の場合は更年期障害などと混同され、正確な診断が遅くなるケースも珍しくない。

発症しても人生は続く まずは支援者に相談を

10年ほど前から若年性認知症の人やそのケアをする家族の支援にあたってきた「若年認知症ねりまの会 MARINE」の代表、田中悠美子さん(立教大学コミュニティ福祉学部福祉学科助教)は、若年性認知症は高齢者の認知症と同様、様々な症状を伴い、個人差も大きいと指摘する。特に初期のうちは調子の悪い時もあれば、良い時もあるなど波もあり、「難病だと感じるほど苦慮することがある半面、風邪のように普通の病気だと感じることもある。どのように捉えるか、個々の状況を受け止めながら、いまだに揺れ動いている」と話す。

一つ言えるのは、発症したからといって、すぐに何もできなくなる病気ではない、ということだ。それどころか、職場や周囲の少しの配慮で就労を継続している人たちもいる。「ある方は、頭脳が疲れやすくなったことを上司や同僚に相談し、こまめに休憩の時間を設けて、体調を整えながら仕事を続けている。記憶力が低下しても、体を動かすと実務は覚えていて、発症前と同様の業務を行っている人もいる」(田中さん)

若年性認知症は男性に多いが、男性の自我は仕事に結びついていることが少なくない。認知症という診断で仕事内容の変更や失業などを余儀なくされると、それが原因で社会とのつながりを断ってしまうことも多い。こうした状況は、本人にとっても良いことではない。

そんなことから、本人や家族の相談を受けてきた田中さんは、「パーソナリティ(自分らしく)」「リラックス(気楽になる)」「エンジョイ(楽しむ)」「コミュニケーション(交流)」「ジョブ(働く)」の5つのコンセプトを重要視しながらMARINEの活動を展開。人と交流して楽しめる機会を提案したり、これまでの仕事を続けるための支援などをしているという(表)。

発症しても、人生は続く。認知症と診断されてショックを受けても、それを受け入れ、認知症から発生する様々なストレスを軽減することが、本人にとっても家族や友人、職場の同僚にとっても重要になるのだという。

そこで頼りとなるのは、MARINEのような支援団体の存在だ。こうした団体の中には、家族同士や本人同士の交流のためのサロンや集いの場を定期的に作っているところもある。そうした場で日ごろの不安や問題点を話し合うことは、家族や本人の気持ちを安定させ、生きるための意欲を湧かせる効果がある。認知症には根治薬がないなど、治療の選択肢は限られている。しかし、語らいの場は本人の気持ちを前向きなものにするばかりではなく、家族の心身の疲れを癒す働きも期待できる。田中さんは「話すことは(悩みを)放つこと」と語りの場を作ることを重視、MARINEでは毎月第3日曜日の午後にサロンを東京都練馬区内で開催しているという。

40歳以上なら介護保険を利用できる

語りの場のほか、社会には若年性認知症の家族の助けとなる様々な制度やサービスも存在している。まず医療費の助成について。認知症で通院治療している場合、医療費の自己負担が1割に軽減される。詳しくは自立支援医療(精神通院医療)の概要(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsu/seishin.html)を見るか、住んでいる地域の市区町村担当課(障害福祉課など)に相談するのがいい。認知症の原因疾患が前頭側頭型認知症である場合は、一定の条件を満たせば難病指定を受け、難病医療費助成制度の対象となることもある。

住宅ローンがある場合は、金融機関の担当窓口に相談する。保険の加入内容によって異なるが、認知症が高度障害と認定されればローンの返済を免除されることもある。障害年金、障害手当金などの給付が受けられることもあるので、年金事務所や市町村の年金窓口に相談する。全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合連合会に加入している事業所に勤務する人の場合、傷病手当金の給付を受けられる可能性があるので、職場の人事部などに相談するといい。仕事を退職した場合で、再就職する意志がある場合は、雇用保険(失業等給付)を受けられるのでハローワークに相談したい。

介護保険サービスも若年性認知症と診断された人は40歳から利用が可能で、近くの地域包括支援センター(高齢者相談センター)に相談することができる。ただし、高齢者の中に入ってデイサービスを利用することに抵抗感を抱く人も少なくない。どのようなサービスが自分に合っているかをケアマネジャーと相談して選択することが大切だ。

以上のほかにも、社会生活や経済的な支えとなる様々な制度が存在する。問題は、診断されてすぐにこれら点在する制度、サービスを調べることは難しいことだ。そこで国は、都道府県ごとに若年性認知症の人やその家族からの相談の窓口を設置し、そこに若年性認知症支援コーディネーターを配置している。ホームページ(http://y-ninchisyotel.net/callcenter/linkbanner.html)で調べ、自宅近くの窓口に相談することがお勧めだ。

若くして親の介護を行う「ヤングケアラー」の支援も必要

若年性認知症と向き合う人が抱える新たな問題として、ヤングケアラーの存在にも注目が集まっている。ヤングケアラーとは若くして親の看護や介護を行っている子どもや若者のこと。Aさんの子どものように10代の時に親(Aさん)が認知症を発症したために、手伝いの延長線上で親の介護をするようになり、進学や就労に支障が出る例も少なくない。

成人していないために親の病気から受ける心理的な影響も大きく、教育、就職、結婚などの人生設計にも大きな支障が出かねない。MARINEも家族支援の一環としてヤングケアラーの支援に乗り出している(「子ども世代のつどい まりねっこ インスタグラム」で検索、2019年9月7日に同会主催で、子ども世代の集いを開催する予定がある)。

(ライター 小崎丈太郎、図版作成 増田真一)

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