三吉彩花 タンブラーに味噌汁の女子高生時代
7歳からモデルとして活動し、その後、女優業でも活躍。今年は矢口史靖監督の映画『ダンスウィズミー』の主演に抜てきされた三吉彩花さん。少女時代から美容と健康に人一倍気を使ってきた彼女が、欠かさず食べている発酵食品や衝動買いした家電について語る。
タンブラーの中身は、たいていお味噌汁
「私は体にいいものをなるべく取り入れるようにしていて、発酵食品が特に大好きなんです。納豆も毎日食べてますし、キムチもいつも冷蔵庫にストックしてあります。ぬか漬けも大好きで、よく自分でも漬けてましたね。今はぬか床をダメにしてしまって、もう1回やり直さないといけない状態なんですけど。
なかでも毎日飲んで、自分で作ってもいるのが、甘酒です。甘酒がいいと知ったのは、6~7年前かな。私、気になったことをちょこちょこと調べるのが好きで、高校生くらいから、健康食品について調べ始めたんです。そうしたら、甘酒は『飲む点滴』と言われるほど栄養価が高い。実家のおばあちゃんが甘酒好きで、よく作っていたので、教えてもらって作るようになりました。米とこうじだけなので、簡単にできるんですよ。私は粒感が残っているのが好きなので、市販の甘酒より自分で作ったものの方が好き。甘酒も、冷蔵庫にいつも常備してます」
もう1つ「毎日取っている」という発酵食品が、大豆から作られる味噌だ。
「大豆を摂取すると、疲れにくくなったり、美肌にいいといわれています。お味噌汁は、高校生の時によく水筒に入れて学校に持っていってました。寒い冬は、みんなは温かいお茶を水筒に入れてくるんですけど、私は具なしのお味噌汁(笑)。よく友達に『どこかから味噌汁の匂いがする!』と言われましたけど、『そ~お?』って、ごまかしてました(笑)。
今はお味噌汁をタンブラーに入れて、撮影現場に持っていきます。だしのもとを入れて味噌を溶くだけなのでラクにできますし、緊張する現場でも、飲むとかなり落ち着きますね」
主演映画で、華麗なミュージカルシーンを披露
8月16日公開の主演作は「ダンスウィズミー」。「ウォーターボーイズ」(2001年)、「スウィングガールズ」(04年)、「ハッピーフライト」(08年)などで知られる矢口史靖監督によるコメディー・ミュージカル映画だ。三吉さんは、催眠術によって、音楽を聞くと歌って踊らずにはいられないカラダになってしまうOLの鈴木静香を演じる。日本中からオーディションで選ばれた。
「オーディションはカラオケボックスで、歌とダンスとお芝居を披露するというものでした。後で監督に『不機嫌そうな感じが良かった』と言われたんですけど、それは緊張してガチガチで、笑う余裕がなかっただけ(笑)。手応えもまったく感じなかったので、『私、落ちちゃったんだろうな~』と思いながら帰りましたね。
合格してからは、2カ月間、歌やダンスの特訓を受けました。それが本当に、やってもやってもスキルが足りない。主演というプレッシャーや、良い作品にしなければいけないというプレッシャー……いろんなものが重なって、クランクイン前に体調を崩したことがありました。でも私が立ち上がらないと始まらないし、終わらない。『やれば終わる!』って思いながら、無理やり現場に戻りました」
見どころは、吹き替えなしで自ら演じきった数々のミュージカルシーン。オフィスやレストランなど、様々な場所で華麗に歌い踊っているが、モノが絡むと大変だったという。
「例えばオフィスのシーンは、最後に書類をぶちまけて紙吹雪の中で踊るんです。それまでにいろんな社員を巻き込んで、最終的に総勢40人で踊るので、タイミングが難しくて。何度もやり直して、そのカットがようやくOKになっても、今度はアングルを変えてもう1回撮らなきゃいけない。そのたびに散らばった紙をかき集めて撮り直していたので大変。監督も私も、みんなで紙を拾ってました(笑)。
あと大変だったのは、レストランのシーン。事前にスタジオで振り付けを覚えて現場に行っても、テーブルが思いのほか長かったり高かったりして。それに合わせて臨機応変に振り付けを変えなきゃいけなかったんです。さらにテーブルクロス引き(皿やグラスを落とさずテーブルクロスを引き抜く芸)、シャンデリアにぶら下がっての空中ブランコ、ポールダンスと、いろんな要素があったので、レストランのシーンだけで撮影に4日かかりました」
また劇中で印象的なのが、催眠術にかかるシーンだ。演技とはいえ、本当にかかりそうになったことはないのだろうか。
「かかってみたい気持ちはあるんですけど、私は絶対、かからないと思うんですよ。今回、やしろ優さん演じる千絵が、催眠術にかかってタマネギをまるごと食べるシーンがあって。そのままかじると辛いので、催眠術師の先生に、本当に催眠術をかけてもらって撮影したんですよ。『たまねぎがリンゴに見えてくる。甘くなる~、甘くなる~』って(笑)。それで『おいしい!』と言って食べるやしろさんを見ても、私はまだ半信半疑。そういう人は、あまりかからないらしいです。かかりたいという気持ちが強くないと。
このお仕事を始めて15年くらいたちますが、この作品をやり遂げたことで、ようやく自分のスタートラインに立てた気がします。今後、女優としてこういう役を演じてみたいとか、モデルとしてもっと海外に出て行きたいとか、欲も出てきました。日本からもっとミュージカル映画を発信していきたいという目標もできました。だからもし、自分が催眠術にかかるとしたら、英語かな。英語がペラペラになる催眠術をかけてほしいです(笑)」
夜中の4時半に買いに行ったダイソンの掃除機
プライベートでは「断捨離」にハマっているという。
「服や靴、バッグ……お仕事の関係もあって、家にモノが多いんですよ。でもリビングにはテレビとテーブルとソファぐらいで、なるべくモノを置きたくない。それで寝室のベッドの周りがモノだらけになって、狭くて窮屈だったので、この1~2年使ってないモノは、人にあげたり捨てたりしようと。断捨離してモノがなくなると、心もめっちゃスッキリしますね。
もともと私、必要なものしか買わないし、持ち物も少なくしたいんですよ。だからバッグには、お財布とリップと香水と、タンブラーにお味噌汁が入ってる程度(笑)。バッグにいっぱいモノを入れている人を見ると、『絶対、使ってないものが半分くらいあるでしょ?』と思うんですよね。性格ですか? よく『男っぽい』って言われます。というか、完全に男だと思う(笑)。
最近買って良かったものは、ダイソンのコードレス掃除機。ドン・キホーテで、夜中の4時半に買ったんですよ(笑)。帰省して久しぶりに帰ってきたときに、掃除機が壊れてるのを思い出して、『やばい!掃除できない!』となって。『そうだ、ドンキなら24時間やってるな』と。それでドンキに行って、『どうせ買うなら、ずっと使えるものがいい』と考えてダイソンにしたんですけど、店を出るとき、複雑な気持ちになりましたね。何で私は夜中の4時半に、ドンキで掃除機買ってるんだろう、と(笑)」
1996年生まれ、埼玉県出身。雑誌「Seventeen」の専属モデルを経て、「25ans」「ELLE Japon」などのモデルとして活躍。女優としては「告白」(10年)、「グッモーエビアン!」(12年)、「旅立ちの島唄~十五の春~」(13年)、「いぬやしき」(18年)などの映画に出演し、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞などを受賞。2020年秋には主演映画「Daughters(ドーターズ)」が公開予定。
ダンスウィズミー
一流企業で働く「勝ち組OL」の鈴木静香は、ある日、怪しい催眠術師・マーチン上田の催眠術にかかってしまう。それは音楽が聞こえると所構わず歌い踊ってしまう「カラダが勝手にミュージカル」の術だった。そのせいで仕事も恋もままならなくなった静香は、失踪したマーチン上田を探す旅に出る……。監督+原作+脚本・矢口史靖 出演・三吉彩花、やしろ優、chay、三浦貴大、ムロツヨシ、宝田明 8月16日全国ロードショー
(文 泊貴洋、写真 藤本和史)
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