マネー研究所

カリスマの直言

自国優先主義で株波乱 長期上昇相場は続く(藤田勉) 一橋大学大学院特任教授

2019/8/19

写真はイメージ=123RF
「世界の反グローバリズムの流れは構造的で今後も変わりにくいが、世界株は米ハイテク企業の成長がけん引するかたちで上昇を続けるだろう」

世界の株式相場が足元で不安定さを強めている。直接のきっかけとされたのは米中貿易摩擦の激化による世界景気の失速懸念だ。筆者は今回の大幅下落は一時的な調整にすぎず、世界株は長期的には堅調に推移していくとみている。ただし米中の対立や地政学リスクなどが起点となって相場が乱高下する局面は今後もあり得るだろう。構造的な理由として、米国をはじめとする主要国の外交戦略が大きな転換点を迎え、自国優先主義に回帰しつつあることが挙げられる。

■国際協調の契機は第2次世界大戦

「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領の登場、英国の欧州連合(EU)離脱と離脱強硬派のジョンソン首相誕生、ドイツのメルケル首相退任表明、フランスの混乱などはいずれも偶然の産物ではなく、国民の意志であり、歴史の必然でもある。歴史をひもとき、分析してみよう。

中世、近代の欧州諸国は国王を中心とする君主制であり、巨大な官僚組織や常備軍を持っていた。必然的に欧州列強はそれらを維持拡大するため世界中に植民地を広げ、隣国を侵略した。米国は18世紀に欧州の旧秩序に反発して誕生した世界初の近代的な共和国である。地理的に欧州から距離があり、資源や食糧などにも恵まれた結果、外交の基本方針は1823年のモンロー宣言以降、モンロー主義といわれる孤立主義となった。

こうした世界の自国優先主義が変わる契機となったのは第2次世界大戦である。米国は当初「これは欧州の戦争である」として静観していた。ところが1941年の日本による真珠湾攻撃を受けて参戦し、連合国側が勝利した。米国の外交戦略は戦後、国際協調主義に大転換し、国際連合、国際通貨基金、世界銀行など国際機関の本部を自国に招致した。軍事面では米ソ冷戦によってベルリン危機、キューバ危機など核戦争の危機にさられたことを受けて、欧州や日本などとソ連と対峙する軍事同盟をつくり上げた。

同様に西欧諸国はドイツとフランスを軸に国家連合を形成し、世界的にグローバリズムが台頭した。独仏を軸とする国家連合は現在のEUに発展した。2004年以降に東欧諸国も参加し、現在では大陸欧州のほとんどの国が参加する。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL