会社はムダだらけ 会議・書類・売れない商品は廃止カルビー元会長 松本晃氏

新商品の不振、マーケティング不全から

次の2日目が、僕にとってはヤマ場でした。午前中に今やっている業務の中で無駄なことは何か、みんなで議論しながら一つずつ洗い出しました。意見が一番多かったのが会議、次が書類でした。これは思った通りで、ほかにもいろいろ出てきました。ただ、一度にあれもこれもやめるというのは、さすがに難しい。

それでその日の午後、急いで廃止すべきだと思ったものに絞って「今日からやめる」と言い渡しました。会議と書類の廃止は、こうやって決まったんです。この業務の棚卸し、仕分け作業は、その後も年に2回のペースで続けました。

商品も、いらないと思ったものはどんどん生産を止めるよう指示しました。会社というのは、新商品と称して、物をいっぱいつくりたがるものです。開発の人たちは、仕事だから新商品をどんどん生み出す。でも、つくっても思うように売れない。そうするとテレビコマーシャルなどのプロモーションをやる。つまり販促にカネをかける。それでも売れないと、また新しい物を作る。いらない商品がどんどん増えて、気づいたら無駄が多くなっているんです。

マーケティングの基本、古典として「マーケティングの4P」というのがあります。だめな会社というのは、プロダクト(製品)とプロモーション(販売促進)の2つのPばかり繰り返し、残りのプライス(価格)とプレース(流通)はほとんどやらない。理論上は4つのPを上手に組み合わせたらうまくいくはずですが、腕がよくないマーケターは前の2つのPしかみないから、うまくいかないんです。商品を減らしたのには、そういうマーケティングの基本を知ってもらう目的もあったんです。

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松本晃
1947年京都府生まれ。京都大学大学院修了後、伊藤忠商事入社。93年にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)日本法人に転じて社長などを歴任した。2009年にカルビーの会長兼最高経営責任者(CEO)に就任。停滞感のあった同社を成長企業に変え、経営手腕が注目されるようになった。11年には東証1部上場を果たし、同社を名実ともに同族経営会社から脱皮させた。18年に新興企業のRIZAPグループに転じ、1年間構造改革を進めたのも話題に。

(ライター 猪瀬聖)

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