往年の欧米映画は、紳士の装いの教科書。
夏休みは映画を見て、洗練された技を学んではいかが。
着こなしが参考になる作品を、専門家12人が選んだ。
■1位 華麗なるギャツビー 600ポイント
焦げ茶の3ピース エレガントに
米国を代表する作家F・スコット・フィッツジェラルドの小説を原作にした映画作品。「狂乱の20年代」といわれた好況に沸く米国で、かつての恋人の前に謎の富豪となって現れる主人公ギャツビーをロバート・レッドフォードが演じる。意中の女性を振り向かせるための華やかな装いが見ものだ。「エレガントな遊びのスーツの神髄を学べる」(綿谷寛さん)
専門家が注目したのは昼間の着こなし。特に「襟付きのダブルのベストの3ピースは今秋のトレンド」(黒部和夫さん)。女性と会うときは白やピンクだったが、ドライブのシーンでギャツビーは写真のような焦げ茶の3ピースだった。焦げ茶なら取り入れやすい。
普段のスーツも「淡いサックスブルーやイエローなど、シャツやネクタイに華やかな色を取り入れるだけでも新鮮になる」(慶伊道彦さん)。シャツの襟を留めるピンや懐中時計をつける鎖、2色のコンビ靴など小物も参考になる。
(1)監督 ジャック・クレイトン(2)製作 1974年 (3)発売元 NBCユニバーサル・エンターテイメント、DVD希望小売価格 1429円(税別)
■2位 シャレード 520ポイント
「いぶし銀」のグレースーツ
夫の死を知らされた女性レジーナ(オードリー・ヘップバーン)が、行方不明の大金を巡る殺人事件に巻き込まれるサスペンス作品。敵か味方か分からない謎の男、ピーターを演じる俳優ケーリー・グラントの「いぶし銀」の着こなしへの評価が高い。「清潔感のある控えめなコーディネートを学びたい」(山本祐平さん)
ほどよくゆとりがあるグレーのスーツに、白いシャツを着て落ちついた色の無地のネクタイを端正に結ぶ。平凡に見えるが、上級者の組み合わせ方という。「グレーのスーツに白いシャツ、青系の無地のネクタイ、白いステンカラーコートは永遠に格好いい」(河毛俊作さん)。グラントが着たコートは「ひざにかかる程度の丈が絶妙なバランス」(林信朗さん)。「ゆったりとしたサイズが旬」(慶伊さん)。今もシャレードを参考にする仕立て職人は絶えない。
(1)スタンリー・ドーネン(2)1963年(3)ゴマブックス、2980円(税別)
■3位 北北西に進路を取れ 515ポイント
主演グラントの普遍的スタイル
ケーリー・グラント演じる広告マンが人違いから謎の組織に追われ、平野から山中まで逃走劇を繰り広げる。「白とグレーの2色でまとめる控えめなスタイル」(赤峰幸生さん)
日本ではかつて「ドブネズミルック」といわれたグレースーツだが、「クラシックな装いに必要な清潔感、社会性、控えめさ、上品さなどがすべて備わっている」(林さん)。「上着をややタイトにズボンを太めにした、グラントの50年代スタイルは普遍的」(中寺広吉さん)
「病院から抜け出すシーンでシャツのカフスを半分だけ折り返していたのは印象に残る着崩し」(白井俊夫さん)。マネできそうな小技も多い。
(1)アルフレッド・ヒッチコック(2)1959年(3)ワーナー・ブラザースホームエンターテイメント、特別版 1429円(税別)