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「内定はゴールではない」 それは企業も同じこと

2019/8/14

こんにちは、U22編集長の安田です。もう2020年卒の就活も終盤。就活の話題も少しお休みモードかな、なんて話を社内でしていた矢先の8月1日、就職活動をしている学生にとって衝撃のニュースがありました。

就活生の「辞退予測」情報、説明なく提供 リクナビ
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)が、就活学生の「内定辞退率」を本人の十分な同意なしに予測し、38社に有償で提供していたことがわかった。…

そして下記の続報もありました。

リクナビ、「内定辞退予測」を廃止 データ7983人分

リクナビ問題、ホンダがデータ購入 「合否に利用せず」

リクナビ問題、トヨタも「内定辞退率」データ購入

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)は5日、就活生の「内定辞退率」の予測を企業に販売するサービスを廃止すると発表した。…

一連のニュース、U22世代はどのように感じたのでしょうか? 少し聞いてみました。

「企業からリクナビ経由でのエントリーを求められたことも多く、リクナビなしでの就活は考えられません。自分もたくさんエントリーして、面接を辞退したり、面接に行ったが辞退した企業が少なくありません。このような流れが全て企業に流れ、スコアのようなものがつけられていたと考えると憤りが隠せません。このようなことがわかっていたらアカウントを複数作ったり情報が全て漏れないようにしたと思います」(IT企業の男性新入社員)

「突然電話がかかってくることや夜中にメールが届くことも多い。その無駄な連絡のせいで見逃してしまった重要な連絡もたくさんあり、就活生は処理が追いつかず困っている。現状でも就活サイトへの不満が多いのに、さらに自分たちが商材として扱われていると知り、不信感が募るばかり」(都内私立大4年生)

商品化されていることへの嫌悪感をすごく感じますね。リクナビへの批判はすでに色々なメディアでされているので、私はこの件に関して思ったことを2つお話ししたいと思います。

学生の言葉に「商材」という表現がありましたが、このニュースを見たとき、私はまず、ある採用担当者の取材での一言を思い出しました。「就活ビジネスの新サービスが最近、雨後のたけのこのように出てくる。なんだか異常な感じがする。またそろそろ新商品を持ってきますよ」と。

就活ビジネスというのは最近色々あるようで、転職市場の人材紹介のようなサービスもあるとか。真相はわかりませんが、大企業の内定を持っていた学生に対して、あるエージェントが取引先のベンチャーを強引に勧め、内定を蹴らせて問題になったという話を大学の就職課から聞いたこともあります。

就活事情に詳しい方はこんな話もしていました。「新卒向けの人材紹介事業の場合は、企業と学生を引き合わせる前に、紹介会社が学生のプロフィルや選考状況を企業側に提供することが慣例的にあるようです。情報提供にどこまで学生の同意を得ているかは各社まちまちなので、グレーな会社も多いのではないでしょうか」

就活ルールが変わり、選考の時期が自由化され、企業も学生も“早い者勝ち”の状況が加速すれば、学生の素性や能力を確かめようと、色々な大人が近づいてくるでしょう。彼らは学生の皆さんのことが知りたくて、データがほしくてたまらないのです。今回の事件で糾弾されるべきはもちろんリクナビですが、学生側にも広い意味でのリテラシーがこれから必要になってくるのではと思います。

もう1つ思ったのは、そもそもなぜこういうサービスが必要になったのか、ということです。ヒアリングした学生の中には、「内定数競争という風潮もあり、売り手市場だから企業も大変で仕方ないのかな」という声が複数ありました。私もこの事件の背景を考えることが重要だと思うのです。

これまでも採用担当者への取材をしていると、「採用の母集団形成(自社の求人に関心を持っている学生を集めること)」「人員計画」という言葉をよく耳にしました。これが採用担当者の評価指標だからです。そして、最近の売り手市場や就活長期化の環境のなかで、その目標値に苦しめられています。「どうやったらノルマを達成できるか」「どうやって学生をつなぎ留めておけるのか」。採用担当者は常に頭を抱えています。

達成しなければならない採用計画があるから「歩留まり」を計算します。それでも予想以上に内定辞退が多い。だから内定辞退率のデータも欲しくなるのです。

就活を取材していると、ときどき止まらない歯車のような感覚がします。学生は就活でこけるわけにはいかないと考え、企業も新卒採用で失敗するわけにはいかないと思っている。一括採用に依存した日本型雇用の弊害なのかなという気がします。

よく「内定はゴールじゃない」と大人は学生に言います。これからは「就社ではなく就職」であるべきで、自分らしくキャリアを築いていく時代だと。

では、企業はどうでしょうか。内定を出すことは企業の人材戦略のゴールではない、はずです。企業は、経営層は、「内定はゴールではない」ということについて本当の意味で考えているのでしょうか?

(安田亜紀代)

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