書店員おすすめ、夏に読みたいビジネス書 新発想満載

まだ読んでいなければ『FACTFULNESS』

定点観測している3つの書店からは、今年前半の話題の本が並んだ。

紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さん

紀伊国屋書店大手町ビル店の西山崇之さんのおすすめは、ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(上杉周作、関美和訳、日経BP)と、永井孝尚『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)。

『FACTFULNESS』は今年上半期に最も売れたビジネス書で、もはや細かい紹介は不要だろう。「データを基に世界を正しく見る習慣」について書かれた内容で、正しく見ることを阻害している10の思い込みをデータと印象的な豊富なエピソードで語り、われわれを世界を正しく見る習慣に向けていざなってくれる。

もう1つの本は経営書の読書ガイドだ。本欄でも6月に紹介した。日本のビジネスパーソンは勉強が足りないという嘆き節から始まる本書は、ポーター『競争戦略論I』、クリステンセン『イノベーションのジレンマ』など、勉強不足解消の一助となるべく著名な経営書を1冊4~8ページで次々と50冊紹介していく。「どう仕事に役立つか」という視点で紹介しているため、即効性がある上、紹介されている本を読んでさらに勉強を深めてみようという気にさせられる。「まだ読んでいなければ『FACTFULNESS』で世界を正しく見る目を養った後、こちらの本を道しるべにして勉強を深めるのがまとまった休みにはいいのでは」と、西山さんは合わせての購読をすすめる。

あしたの仕事には『アフターデジタル』

リブロ汐留シオサイト店の三浦健さん

リブロ汐留シオサイト店店長の三浦健さんがすすめてくれたのは、ヤニス・バルファキス『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(関美和訳、ダイヤモンド社)と、藤井保文・尾原和啓『アフターデジタル』(日経BP)。教養書の色合いの濃い経済の本と、最先端のビジネス事情の本という対照的な2冊となった。

「経済の話の方は、読んでいてとにかく面白い。こんなにわかりやすく経済について語った本はなかなかないと思う」と、三浦さんは話す。一方の『アフター・デジタル』については「これからは多くのビジネスがデジタル起点で展開していく。そのことを中国など最先端の企業の事例で論じているので、あしたの仕事に役立てたいならこちらがおすすめ」という。

ビジネススキルより生き方や考え方を

八重洲ブックセンター本店の川原敏治さん

八重洲ブックセンター本店マネジャーの川原敏治さんは、ロルフ・ドベリ『Think clearly』(安原実津訳、サンマーク出版)とクリスチャン・マスビアウ『センスメイキング』(斎藤栄一郎訳、プレジデント社)をすすめる。前者は5月に本欄で紹介した、人生をよりよく送る様々な思考法を「思考の道具箱」としてまとめた本だ。後者は18年末に年末年始におすすめのビジネス書を紹介したとき、青山ブックセンターの中田さんがすすめてくれた、人文的な知識の重要性を考察した異色のコンサルタントによる論考だ。

「具体的なビジネススキルより働き方や生き方、考え方といった一歩深い視点の本が最近のビジネス書出版の流行になっている。そんな傾向の中で注目度の高い本を2冊選んでみた」と川原さんは話す。

(水柿武志)

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