書店員おすすめ、夏に読みたいビジネス書 新発想満載

思考法の隠れたロングセラー

三省堂書店有楽町店の岡崎史子さん

同じく準定点観測書店の三省堂書店有楽町店の岡崎史子さんが選んでくれたのは、「ベストテンに入るほどではないが、新刊でもなく特別な販促をしているわけではないのに、このところつねにベストセラー中位に顔を出している本」。1冊は安宅和人『イシューからはじめよ』(英治出版)。安宅氏はヤフーの最高戦略責任者(CSO)で、慶応大学教授も務める戦略立案のプロだ。

「イシューからはじめる」というのは本当に優れた知的生産をするための思考法のことだ。問題を解くのではなく、問題を見極めることからはじめようと説く。解の質を上げるのではなく、問題そのもの、イシューの質を上げることで本質的な問題解決へとつなげる考え方だ。「売れ続けているのは、問題解決で頭を悩ませている人がはっと気づかされるポイントをついているからでは」と岡崎さん。刊行は2010年だが、ほぼ一貫して売れ続け、思考術の定番に育った。帯には「22万部突破」の言葉が踊る。

もう1冊はチャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン『両利きの経営』(入山章栄監訳、渡部典子訳、東洋経済新報社)。こちらは今年2月刊と日が浅いが、5カ月たっても「売れ行きをチェックしては追加注文しないと在庫がなくなってしまう」という。米スタンフォード大とハーバード大の教授によるイノベーション理論の本だ。

両利きとは「探索」と「深化」を指し、その双方を高い次元でバランスよく発揮させるのが両利きの経営。既存事業を深化させながら新規事業(イノベーション)の可能性を探索する戦略だ。実践するカギはリーダーシップにあると指摘する。テーマとなっているイノベーションは、日本企業の最も今日的な課題で、「気になっている人が多い」と岡崎さんはみる。

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