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青山ブックセンターの中田麻美さん

青山ブックセンターの中田麻美さん

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回はいつもと趣向を変えて、定点観測している書店のビジネス書担当者に、夏休みに読んでおきたいビジネス・経済書をすすめてもらった。新刊にこだわらずそれぞれ2冊選ぶようにお願いしたところ、ことし前半の話題の本を中心に、ビジネスのヒントになる様々な本が顔を並べた。長めの休みをきっかけにビジネス脳をリフレッシュする手がかりにしてほしい。

仕事から少し離れた本を

「仕事から長めに離れている時間は新しい発想に触れるチャンス。直接仕事に関わらないテーマの本を読んでみるといい」。2~3カ月に一度訪れる準定点観測書店の青山ブックセンター本店の中田麻美さんはこう話す。そんな視点から選んでくれたのが、マイク・ヴァイキング『デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義』(枇谷玲子訳、晶文社)とイヴォン・シュイナード『新版 社員をサーフィンに行かせよう』(井口耕二訳、ダイヤモンド社)の2冊だ。

ヴァイキング氏はデンマーク幸福研究所の所長。同国は世界幸福度調査の上位常連国で、幸福研究では一日の長がある。本書は自国の読者に向けて、幸福とは何か、幸福への関心が政財界で高まっている背景、そして幸福研究でどういうことがわかり、それを現実の経済や政治にどのように生かせるのかなどについて、縦横に語った本だ。

「普段の仕事モードだと考えることのない大きなテーマについて読んでいくと、仕事では見えてこない視界が開けていくのでは」と中田さんは推薦の理由を述べる。例えば、自分の選択が幸福度にどのような影響を与えるかをいくつかの研究から紹介した第6章。そこで紹介される、自分以外の人のためにお金を使った人の幸福度が高いという話や、物質的なものより体験にお金を使った方が幸福度が高まるといった研究成果など、何かビジネスや働き方へのヒントになりそうな視点が発見できそうだ。

もう一方の本は、アウトドア用品メーカー、パタゴニアの創業者が自社の歴史と理念を語った本だ。中田さんは「タイトルだけでも夏休み向きの本だけど、今の時代にビジネスをする上で考えなければならないことが経営者自身の言葉でいろいろと書かれている」とこの本の魅力を述べる。

旧版の刊行は10年以上前。すでに読んだことのある人も多いかもしれない。だが、2年ほど前に出た新版ではその後の10年にしてきたこと、今後しようと考えていることを加筆して、旧版の魅力をさらに高めている。環境への負荷を最小限に抑えてビジネス展開するその経営姿勢は、持続的な開発目標(SDGs)への関心が企業人の間でも高まっている今、なおさら今日的だ。きれいな写真もたくさん収録していて、視覚的なエコ感もたっぷり。夏休みに自然の中に身を置いて、地球の将来に思いをはせながらビジネスとのつながりを考える。そんな機会を持てるなら刺激的な一冊になりそうだ。

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